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「元年」から既に3年 電子書籍は本当に普及するのか?
紀伊國屋書店、KADOKAWA、講談社の3社は、学校・公立図書館向けの電子書籍貸出サービス提供の準備を始めるために合弁会社「日本電子図書館サービス(略称:JDLS)」を設立したと発表した。
電子書籍元年と言われた2010年以降、さまざまなデバイスやストアが誕生しているが、一方で図書館における電子書籍貸出サービスはまだまだ実験的な段階にとどまっている。そこで3社は協同して、電子書籍時代における利用者の利便性向上、図書館関係者の運用への支援、著作者への適正な利益配分等を行う業界共通プラットフォームの必要性などから、本格的な事業化に向けた準備のため合弁会社を設立した。
新会社、「日本電子図書館サービス」は資本金3000万円で、業務内容を学校・公立図書館向け電子書籍貸出サービスのフィージビリティスタディと、各種事業インフラの構築、提供、運営の準備としている。
公言こそしていないものの、今回のこの合弁会社設立は、いうまでもなく、「アマゾン」等の外国企業が、図書館における電子書籍貸出サービスに参入する前に、国内3社で事業インフラの構築を行うためのものだ。しかしながら、そもそも国内に於いて、電子書籍というものはどう捉えられているのだろうか。
クロス・マーケティングが9月18日から20日までの期間で、首都圏・関西圏の20から65歳のフルタイム勤務の男女でなおかつ、直近3か月で書籍を1冊以上読んだ人を対象に、「ビジネス書籍と新しい読書手法に関する調査」(有効サンプル1200名)を行った。
それによると、電子書籍を現在利用している人は15%。99%の人が電子書籍を知っているにも関わらず、61%は「名前は知っているが利用しようとは思わない」となっている。
この結果を見る限り、電子書籍は、紙の本を凌駕する可能性は少ないのではないだろうか。しかし、もちろん今回の紀伊國屋書店、KADOKAWA、講談社の3社の新しい取り組みが的外れということではない。ただ、こういった利用者の動向にも注視する必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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