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消費税増税で、買い時を迎える住宅事情
2014年4月からの消費税増税が決定され、各方面での駆け込み需要が慌しくなってきた。
しかし、住宅市場だけは比較的穏やかだ。それもそのはず、消費税増税が影響する新築住宅購入の駆け込み需要のピークはすでに9月末で落ち着いたからだ。消費税は基本的には商品が引き渡される時の税率が適用される。ところが、住宅に限っては引き渡しまでに時間がかかるため、税率が上がる半年前までに契約した物件については、引き渡しが増税後になっても現行の5パーセント税率が適用されるのだ。
これまで、政府が増税の決定を引き伸ばしてきたとはいえ、13年4月からの増税はほぼ決定事項だと見込まれていたこともあって、現行の税率が適用される9月末で、ほかの市場よりも一足先に駆け込み需要のピークは終わった。今後は、「住宅ローン減税処置の拡充」や、増税後に導入が予定されている「すまい給付金制度」、さらに住宅メーカー各社もそれぞれの形で増税分に対するお得感を出した商品を展開してくることが予想され、現在のところ、消費税増税後の住宅市場の冷え込みは、さほど深刻なものにはならないだろうという見方がなされている。
まず、住宅ローン減税の適用は、2014年1月1日から2017年末の入居分まで4年間延長されることとなった。そもそも住宅ローン減税は、年末の住宅ローン残高の1パーセント分を所得税・住民税から10年間に渡って控除されるというもの。現状、上限が2,000万円に設定されている住宅ローン減税対象の住宅ローン残高を4,000万円にまで引き上げられることが決定していることから、減税額は現行の最大200万円から最大400万円に倍増することとなる。
でも、あくまで「おさめた税金」から戻ってくる形になるので、年間40万円以上の税金を納めていないと減税の効果はあまりないといえる。そこで登場するのが「すまい給付金」制度だ。すまい給付金は、収入が510万円以下の場合、年収に応じて、一戸当たり、10万円から30万円が現金給付されるものだ。たとえローンを組まなくても条件に合えば給付されるうえに、ローン減税と併用して利用することもできる。ただし、給付は毎年ではなく、一度限りとなっている。
このような制度を上手に利用すれば、収入などの条件によっては増税前よりもおトクに住宅を手に入れることも可能だという。しかしながら、住宅ローン初心者にとって、この制度はなかなか難解なものとなっている。増税による恩恵を得ようと思えば、まずは信頼のおける専門家に相談するのが一番だろう。
また今後、ハウスメーカー各社の自社努力によって、増税分を何らかの形で還元する動きも予想される。それらを合わせて賢く利用する意味でも、住宅フェアなどにこまめに足を運んでみるのも良いだろう。
たとえば、ミサワホームは10月8日、住宅ローン減税やすまい給付金制度を活用し、その効果が発揮できる、販売価格1,500万円台を実現した木質系戸建住宅の企画商品「SUPER LIMITED」を開発し、来年3月末まで500棟限定で販売することを発表している。また、アキュラホームが主宰する全国最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」でも、10月11日から12月23日までの期間限定で、1000万円台の「木のスマートハウス」を500 棟限定発売し、期間中はジャーブネット創業15周年を記念したフェア「バリューアップ大感謝祭」を全国一斉で開催。生産工程を見直し100 万円相当の仕様をバリューアップするほか、施主のライフスタイルに合わせて6つのタイプから搭載アイテムを選択できる「限定パック」を付けるなど、企業努力によって増税分を補って余りあるサービスが展開される。
税率が3%から5%へ引き上げられた97年4月には、その反動で、2桁規模の落ちみがあった。各社、その轍は踏まないようにサービスの充実に動くであろうことが予想される今、増税決定後の今こそ、買い時ともいう考え方もできるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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