【アナリスト水田雅展の相場展望】米FRBの金融政策に対する見方が交錯し膠着感強まる

2013年9月22日 09:33

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>(9月24日~27日)

  来週(9月24日~27日)の株式・為替相場は、9月の重要イベントを通過して10月上旬の次の重要イベントまでの端境期となる。過度な警戒感は一旦後退するが、米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に対する見方が交錯するだろう。株式相場は全般底堅いが方向感に欠け、ドル・円相場は膠着感を強める展開となりそうだ。

  最大の焦点だった9月18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では、ゼロ金利政策と850億ドルの資産買い入れ規模の維持を決定し、市場が想定していた量的緩和の縮小開始が見送られた。米長期金利上昇の影響で雇用関連や住宅関連などの主要経済指標に力強さを欠いていることに加えて、新興国からのマネー流出という世界経済の混乱を避けたいとの意向も強めたようだ。

  この結果に対して、直後の債券市場では米長期金利が急低下し、外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=97円70銭台までドル安・円高方向に動いた。株式市場ではダウ工業株30種平均株価とS&P500株価指数が急騰して史上最高値を更新するという反応を見せた。そして翌19日には日本株も含めて世界株高の展開となった。

  ただし、こうした反応は1日で終了した。為替はFOMC声明発表前の水準1ドル=99円台半ばに戻り、20日の世界の株式市場は膠着感を強め、米国のダウ工業株30種平均株価は大幅下落した。今回の米FOMCの結果を受けて、一旦は超緩和的な金融政策が続くことに対する安心感が広がったものの、米FRBの量的緩和縮小開始時期に関して、あらためて不透明感が意識された形だ。

  縮小開始時期については12月とする見方が有力になったが、20日の米国市場ではブラード米セントルイス連銀総裁の発言を受けて10月の縮小開始が意識された。一方では14年以降に先送りとの見方も広がり始めている。14年1月に任期が切れるバーナンキFRB議長の後任人事について、サマーズ元財務長官が辞退してイエレンFRB副議長が最有力候補となったことも背景にある。バーナンキFRB議長の続投説や、超緩和的な金融政策が長期間継続されるとの見方も浮上している。したがって雇用関連や住宅関連を中心に主要経済指標睨みの状況が続きそうだ。

  国内では消費増税実施時期に関して、安倍晋三首相が予定どおり14年4月実施の意向を固めたとの報道が相次いでいる。市場の想定どおりのため特にサプライズとはならないが、10月1日とみられる正式表明とともに、景気腰折れを防ぐための5兆円規模の経済対策、そして法人減税や東京特区構想などの成長戦略が焦点となる。

  海外では新たな不透明要因に事欠かない。米国では、10月4日の9月雇用統計の結果次第で量的緩和の早期縮小観測が強まる可能性があり、9月末の政府機関閉鎖を回避するための暫定予算案を巡り、さらに10月18日に期限を迎える連邦政府債務上限問題に関して、オバマ米大統領と米議会の攻防が激しくなる。

  ユーロ圏では、ギリシアに対する追加支援問題が新たな不透明要因として浮上しており、9月22日のドイツ連邦議会選挙の結果次第では波乱要因となる可能性があるだろう。また新興国からのマネー流出問題も一旦は落ち着いた形だが、予断を許さない。

  ただしチャート面で見れば、日本株は三角保ち合いを上放れて強基調へ転換した形だけに、全般底堅い展開となりそうだ。日経平均株価が9月26日の配当権利落ち分を吸収して、7月の戻り高値1万4953円29銭を上抜けるかも焦点だろう。物色面では20年東京夏季五輪関連、リニア中央新幹線関連、観光・カジノ関連、経済対策関連を中心としたテーマ株物色が中心だろう。日本の主要企業の14年3月期業績上振れを織り込む動きが強まるのはもう少し先になりそうだ。

  その他の注目スケジュールとしては、23日の中国9月製造業PMI速報値(HSBC)、ユーロ圏9月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米8月シカゴ連銀全米活動指数、米9月製造業PMI速報値、24日の独IFO業況指数、米7月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米7月住宅価格指数(連邦住宅金融局)、米9月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、25日の独消費者信頼感指数、米8月耐久財受注、米8月新築一戸建て住宅販売、26日の米8月住宅販売保留指数、米第2四半期GDP確報値、27日の日本8月全国・9月東京都区部消費者物価指数、ユーロ圏9月景況感・業況感指数、米8月個人所得・消費支出などがあるだろう。

  その後は10月1日の日銀短観(9月調査)、日本8月毎月勤労統計、中国9月製造業PMI(国家統計局)、豪中銀理事会、2日のECB理事会とドラギ総裁の記者会見、3日~4日の日銀金融政策決定会合、4日の米9月雇用統計、9日~10日の英中銀金融政策委員会などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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