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【アナリスト水田雅展の為替・株式相場展望】東京五輪決定のご祝儀相場、スポーツ・建設・不動産・観光など五輪関連銘柄
<9月9日~13日>
20年夏季五輪開催都市が東京に決定した。9月上旬の重要イベントを通過した来週(9月9日~13日)は、まずはご祝儀相場でのスタートとなる。日本経済再生を期待する上昇第2波のスタートとなる可能性もあるだろう。
米8月雇用統計の結果を受けて、米国の量的緩和縮小開始に一段と不透明感が増した形だが、前週末6日には20年夏季五輪の東京開催に関するネガティブな報道を受けて期待感が後退していただけに、日本株にとってはポジティブサプライズとなった。9日朝発表の4~6月期GDP2次速報値が上方修正される可能性が高いことも支援材料だ。週末13日の先物・オプション9月限メジャーSQ(特別清算指数)に向けた思惑や売買代金の動向も注目点だろう。
注目された6日の米8月雇用統計では、失業率が前月比0.1ポイント改善して7.3%となった。08年12月以来の低水準だった。しかし非農業部門雇用者数は前月比16.9万人の増加にとどまり、市場予想を下回った。さらに6月分と7月分も下方修正された。米国市場では、雇用統計の結果に加えてシリア問題も絡んで乱高下する場面もあったが結局、長期金利は低下し、為替はドル安・円高方向に傾き、株式市場でダウ工業株30種平均株価は4営業日ぶりに小幅反落した。
米FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小に関して、9月の縮小開始は微妙になったとの観測が市場に広がったようだ。依然として9月に縮小開始との見方もあるが、シリア情勢、バーナンキ米FRB議長の後任人事、米連邦債務上限問題も絡んで一段と不透明感を強め、結局は9月17日~18日の米FOMC(連邦公開市場委員会)待ちの形となった。
シリア情勢に関しては、オバマ米大統領が議会の承認を得て軍事行動に踏み切った場合、たとえ短期間の限定的な軍事行動であったとしても、米ロ関係の悪化、シリア周辺諸国の動向など不透明感が強く、世界景気への悪影響も警戒される。このため米FRBの量的緩和縮小の開始時期が先送りになる可能性も高まっている。
アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されたIOC(国際オリンピック委員会)総会で現地時間7日(日本時間8日早朝)、20年夏季五輪開催都市が東京に決定した。前週末6日の期待感後退から一転しての勝利だけに、ポジティブサプライズだろう。スポーツ・建設・不動産・観光など五輪関連銘柄を中心とするご祝儀相場となりそうだ。
国内要因では消費増税が予定どおり実施との見方が優勢になっている。そして安倍晋三首相の10月上旬の最終判断に向けて、9日朝発表の日本4~6月期GDP2次速報値が注目されている。1次速報値に対して大幅上方修正が予想されているため、20年夏季五輪開催都市の東京決定と合わせてプラス要因だろう。
米国の量的緩和縮小睨みのため、東京五輪ご祝儀相場の賞味期限も焦点となるが、米国の量的緩和縮小の方向性に変化はなく、市場の織り込みも進んでいる。そして日本株は5月高値から値幅・日柄ともに調整十分であり、売り枯れの状況でもある。東京五輪決定による日本のムードの変化がアベノミクス成長戦略にとって追い風となる可能性もあり、消費増税による景気腰折れを防ぐ財政政策・成長戦略関連、デフレ脱却に向けた国内の消費・不動産関連などに注目したい。
その他の注目スケジュールとしては、8日の中国8月貿易統計、9日の日本7月経常収支、日本8月消費動向調査、日本8月景気ウォッチャー調査、中国8月PPI・CPI、米7月消費者信用残高、10日の日本7月第3次産業指数、日本8月マネーストック、中国8月鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資、11日の日本8月企業物価指数、日本7~9月期法人企業景気予測調査、12日の日本7月機械受注、インドネシア中銀金融政策会合、ユーロ圏7月鉱工業生産、米8月輸出入物価、米8月財政収支、13日のユーロ圏7月貿易収支、米8月小売売上高、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、13日~14日のユーロ圏・EU財務相非公式会合などがあるだろう。
その後は22日のドイツ総選挙、10月3日~4日の日銀金融政策決定会合などが予定されている(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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