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災害時にも役立つ国産インバータ発電機の魅力
国内向けインバータ発電機のほとんどは、この静岡県掛川市にある東工場で生産されている。震災以降24時間体制で組み立てられているのは、主力モデルの「EF1600iS」。[写真拡大]
キャンプやお祭りの屋台などで見かける、ガソリン発電機。この発電機の国内需要が、東日本大震災前に比べて、現在では3倍ほど急激に増加している。発電機は、エンジンを回し、電気を発生させるといった製品だが、最近、先進国では“インバータ”式の発電機が主流になっている。
“インバータ”とは、直流電気から電子制御で波形ひずみを抑え、家庭用電源と同レベルの良質な交流電気を作り出す装置のこと。身近なものとしては、エアコンや冷蔵庫、ちらつきの少ない照明器具などに使われている。このインバータ技術が発電機にも導入されたことで、精密機器であるパソコンをはじめ、コンピュータ内蔵の炊飯ジャーや携帯の充電器などにも安心して使えることから、震災を期に需要が一気に高まったのだ。インバータ発電機の特徴としては、「良質な電気を生み出す」ことを筆頭に、「軽量コンパクトなボディ」「省エネ・静粛性」などが挙げられる。
発電機の国内シェアは、トップのホンダ<7267>に続いて第2位となるのがヤマハモーターパワープロダクツ。同社は、ヤマハ発動機<7272>のグループ会社であり、ヤマハブランドの除雪機やゴルフカート、レーシングカート用エンジンなどを主に生産・販売している企業。当然、そこにはヤマハのエンジンテクノロジーが凝縮されていて、国内で販売される発電機にはすべて4ストロークエンジンを採用。国内販売の7割はインバータモデルで、同社がある掛川市の同社東工場で生産される“メイド・イン・ジャパン”だ。
ヤマハによると、2012年度の全世界における、ガソリン発電機市場は1100万台。ピラミッド型の頂点に立つインバータ(4サイクル)発電機を筆頭に、通常型4サイクル発電機、最大のボリュームゾーンが2サイクル発電機となっている。先進諸国以外の新興国や電力供給不足地域においては、通常型4サイクル発電機や、100ドル前後で購入できる安価で発電能力の小さい2サイクル発電機の需要が高いのが現状。ただ、環境問題や燃費、耐久性などから、いずれはインバータ発電機にシフトするのは時間の問題となるだろう。インバータ発電機は日系メーカーが中心になって生産しており、通常型4サイクル、2サイクル発電機は低価格をウリにする中国などで主に生産されている。
「ヤマハブランドの発電機は、始動性・耐久性が高くお客様から信頼されています。実際に使っていただければわかりますが、いざという時でも確実に作動することが何より重要で、その点では絶対的な自信があります。」と、同社パワープロダクツ事業推進部長 岩塚氏。
国内向けモデルでは、定格出力0.9~5.5kVAまでのインバータモデル7種類をラインアップしている。その中の主力モデルである「EF1600iS」(メーカー希望小売価格20万7900円)では、1.6kVAを発電。具体的に言うと例えば、電気スタンド40W+電気ポット1000W+ノートパソコン2台200W+デジタルカメラ充電器20W=1460Wをなんなく可動させる能力を持っているということ。連続運転時間も4.2~10.5時間で、重量は20kgと、可搬性にも優れていることから、家庭用の非常用電源だけでなく、キャンプなどのレジャーシーンでも活躍できる。実際にこの「EF1600iS」は、FM放送局のバックアップ用電源としても活用され、停電時に放送を行なっている。
普段はレジャー用で、非常時にはバックアップ電源としても使用できる発電機。その中でもインバータ発電機がこれからの主流になるのは当然の流れとなるだろう。“天災は忘れた頃にやってくる”ではないが、防災の日をきっかけに、もう一度、我が家のインフラを考えてみたい。(編集担当:鈴木博之)
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