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【小倉正男の経済羅針盤】シリア軍事介入と「大義」の狭間
■シリア内戦への軍事介入
アメリカのオバマ大統領が、シリア内戦に軍事介入を検討――。 シリアのアサド政権が、化学兵器を大規模に使用した疑いがある。これがアメリカの軍事介入の「大義」となっている。
化学兵器は、生物への無差別殺戮兵器――。 確かに、化学兵器を政府軍、反政府軍のどちらが使用したか、といえば政府軍が使用したとしか思えない。
アメリカの軍事介入は、トマホークによる空爆が中心で、あくまで限定されたものにとどまると見られている。
オバマ大統領は、「化学兵器の大規模な使用に対する警告」という限定をわざわざ表明している。イラク軍事介入のように陸上戦はない、としている。
これに対してシリア外相は、「(軍事攻撃に対しては)自国を防衛する」と発言。 アサド政権側は、数日間の辛抱と踏んでいるようだ。
■「大義」はあるのか
こうなると、悪くいえばお互いの『政治ショー』に近くなる。 「戦争は、他の手段を持って継続する政治の延長」(クラウゼビィッツ)になり、民衆の悲惨さは解決されるのかどうか伺いしれない。
アメリカの国民レベルでは、シリアへの軍事介入は慎重論が多数派と見られている。つまり、シリアへの軍事介入には「大義」がないと感じられている。
アメリカの財政赤字は4年連続で1兆ドル台。2013年は1兆ドルを下回ると言われているが、軍事介入を行えば『物入り』となる。 財政赤字の増加から、金利が上がり、ドルがさらに高騰する。
しかもアメリカの盟友・イギリスでは、議会がシリアへの軍事介入を否決した。 イギリスも少なくとも即座の軍事介入には、議会=国民が「大義」がないと判断しているわけである。
オバマ大統領としても、「やる」と言い切ったのだから引っ込みがつかない。しかし、「大義」を持てずにやれば、それこそ『政治ショー』以下になる。 気合の入らない戦争となり、アサド政権に見透かされることになりかねない。
やってもやらなくても、残念ながら、オバマの負けに見えるのだがどうだろうか。
■「みんなの党」の内紛
『政治ショー』以下と言えば、翻って国内政治――。「みんなの党」の内戦、いや内紛について一言したい。
「みんなの党」は、規制緩和と政界再編成を旗印にしてきた。好感の持てる党、と思われてきた。 ところが、ここにきて渡辺喜美代表と江田憲司前幹事長のケンカ。
渡辺喜美代表は、「出て行けとは言わないが・・・」どころか、「何も言わないから出て行け」と。政界再編成ではなく、『党内再編成』を実行――。 これでは、「みんなの党」ではなく、「自分の党」ではないか。
『政治は、他の手段を持ってするケンカの延長』では、これまで「みんなの党」に票を入れてきた国民が報われない。 スケールはあまりに小さく、「大義」がないどころか論じるに値しない不祥事というところか。
(経済ジャーナリスト&評論家・小倉正男=東洋経済新報社・金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』(PHP研究所刊)など著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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