日本生まれ、人類初のロボット宇宙飛行士「キロボ」に世界が注目

2013年8月9日 12:00

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記事提供元:NewSphere

 種子島宇宙センターから4日、人類初のロボット宇宙飛行士「キロボ」が搭乗したH-ⅡBロケットが打ち上げられた。国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ日本の無人補給機「こうのとり」4号機が搭載され、10日にISSへ入港する予定だ。

 「キロボ」は日本語を話し、会話することができる小型の人型ロボットだ。身長は約34cmで、音声認識、自然言語処理、音声合成、コミュニケーション動作などが可能だ。

 2013年12月ごろからISSきぼう日本実験棟で、日本人初のISS船長に就任する若田氏とともに、本格的に会話実験に挑む予定だ。「キロボ」はISSに18ヵ月滞在する予定であり、改良点の洗い出しや宇宙飛行士にどのような影響を与えるか観察される。

 フォーブス誌は、火星探索のような長期的にわたる飛行時間を体験するかもしれない宇宙飛行士の健康状態に懸念を示している。長期の孤独が心身にどのような影響を与えるか、「キロボ」がそれにどう貢献するかに注目している。

【Kibo Robot Projectのビジョンとは】

 「キロボ」は「Kibo Robot Project」で開発されたものだ。このプロジェクトは、東京大学、ロボ・ガレージ、トヨタと電通の協同プロジェクトである。ビジョンは「コミュニケーションができるロボットと暮らす未来」を掲げている。

 

 「キロボ」の名前の由来は、きぼう日本実験棟のきぼう、日本の技術力の希望、明日への希望、そして未来への希望とロボットを融合させたものだ。

 「キロボ」の音声認識テクノロジーを担当したトヨタは、ISSでの実験結果を活用する計画を立てている。工場で稼働しているロボットに反映させることを狙っているようで、将来的には、自動車にも導入されるかもしれないとフォーブス誌は注目している。

【日本初の民間ロケット 米国や欧州がライバル視?】

 ハフィントン・ポストは、今回打ち上げられた「こうのとり」4号(HTV4)はISSに物資補給する補給機のうちのわずか1機にすぎないと伝えている。

 同サイトは、欧州宇宙機関が開発した欧州無人補給機やロシアの無人補給機は既に定期的に物資補給をしていると例を挙げている。

 また、米国航空宇宙局(NASA)は、既に民間企業2社に商業軌道輸送サービス(物資補給)の契約を交わしている。その内の一社であるスペースX社の補給機「ドラゴン」は2012年5月に民間企業史上初となるISSへのドッキングに成功している。

 これまでISSとのドッキングに成功した国は日本、米国、ロシア、欧州宇宙機関だけである。

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