【忠田公夫の経済&マーケット展望】NYダウは8月から9月にかけて重要な高値を形成する可能性

2013年8月9日 15:25

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  前回(7月8日付けで)、NYダウは5月28日の1万5409ドルを更新しても、1万6000ドル近辺を走る上値抵抗線に留意したい、と述べた。米国景気は極めて緩やかな回復トレンドを歩みつつあり、量的緩和策第3弾(QE3)の縮小開始は9月から12月のFOMCとみられる。

  09年3月9日の6547ドルのリーマンショック後の安値から、未曾有の金融緩和QE1、QE2、QE3を実施し、潤沢なマネーを背景に経済を好転させ、NYダウはこの8月に終値で1万5658ドルと、4年5ヶ月の間に2.4倍近くに上昇した。テクニカル分析から捉えると、NYダウはこの8月から9月にかけて重要な高値を形成する可能性が高い、と予想される。

■グローバルで留意することに米国FRB議長後任人事、ドイツ議会選挙、日本の消費税、中国の経済など

  では、9月にかけてグローバル経済で注意しておくべき動きをチェックしたい。まず、わが国では9月9日の今年4-6月期GDPの改定値を確認し、来年4月の消費税率引上げの最終判断が示される予定だ。財政の健全化を考慮すると先送りはあり得ない。来年3月にかけて駆け込み需要が顕在化し、4月以降、個人消費やGDPがその反動で悪化不可避とみられる。日経平均はすでに先見し5月に高値をつけ、以後は少し時間をかけた調整過程にあるとみている。

  次に、米国ではQE縮小に向けた動きとともに、来年1月末で任期が終るFRB議長の後任人事も注目され、サマーズ氏が有力となれば波乱要因と受け止めたい。このほか、9月22日のドイツ連邦議会選挙の行方によっては、「欧州債務危機」再燃のリスクもあろう。

  また、中国景気への目配りも欠かせない。6月末の鋼材在庫量は年初に比べ3割も増加する一方、製造業の設備の2割が稼動していないとの報道もあり、シャドーバンキングや理財商品対策ともども、今後の動向を十分見極める必要があるだろう(忠田公夫=経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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