東証に対しみずほ証券が「ジェイコム株大量誤発注事件」での賠償を求めた裁判、高裁も東証の重過失を認める

2013年8月7日 13:01

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記事提供元:スラド

insiderman 曰く、 やや旧聞になるが、2005年に発生した、「ジェイコム株大量誤発注事件」で発生した損害について、みずほ証券が東証に対し賠償を請求していた裁判にて、東京高等裁判所が7月24日、第一審での東証への賠償命令を支持する判決を下していた模様(日経コンピュータ)。

 争点とされていたのは、東証のシステムに存在していた「取消注文が受け付けられない」というバグについての責任が東証側にあるかどうかという点。このシステムは富士通が開発していたが、高裁はまず、富士通は東証の債務履行補助者であり、富士通側に重過失があれば、それは東証の重過失と見なされる、と判断。また、バグの発見や修正が容易であったにも関わらずそれが修正されていなければ、それは重過失になる、とも判断された。

 しかし、今回問題となったバグについては、「発見等が容易である」とは認定されなかった。東証側およびみずほ側の双方から専門家の意見書が提出されていたが、それぞれ相反する内容で、またどちらも「甲乙付けがたい」内容だったという。また、裁判所側も発見が容易だったかは慎重に判断しなければならないとしている。そのため、今回の判決において東証はシステムに関する責任については問われないという判決となった。

 ただし、バグに関する責任が問われなかったいっぽうで、誤発注の判明後に東証が売買停止権限を行使しなかった点については東証の重過失と認定、東証にそれによる賠償の支払いを命じる判決となった。

 「バグを重過失と認定するためには客観的な証拠が必要」という結論になったわけだが、実際バグを見つけるのが簡単かどうかというのはなかなか判断が難しいわけで、その点ではIT業界人にとって安心できる判決となったのではないだろうか。

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