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草間彌生がカフェ「私の大好きな私」で、世界平和と愛を語る - 新作アートも披露
現在、草間彌生と六本木ヒルズのコラボレーションプロジェクトにより、期間限定のコンセプトカフェ「カフェ『私の大好きな私』」が2013年8月18日(日)まで開催されている。ここでは、水玉をモチーフにしたリゾットやサラダ、ケーキなどのオリジナルメニューが提供されるほか、草間グッズの販売や、このカフェの為に作られた新作「ハート・ラブ・フォーエヴァー」も展示されている。
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オープン初日に草間彌生本人も登壇し、オープニングセレモニーに集まったゲストやメディアに向けて挨拶し、また自分で書いた詩の朗読や歌を披露した。
草間彌生はマイクを手にすると、まず「皆さん、こんばんは。私は前衛芸術家として世界各国で大きな展覧会をしてまいりました。今、六本木の森美術館の皆さんにセッティングしていただいた華やかな場所で皆様にお目にかかれたことに、大変感動いたしております。皆さま、よくいらっしゃいました」と挨拶。
「初めてこのカフェにいらっしゃってどうですか?」と記者に問われると、「天井に揺れている水玉の神秘的な輝き、そしてそれぞれの分野から非常に聡明な皆様の姿を見て、私は非常に幸福でいっぱいです。なぜならシャツ、それから飾られてある食器など、至る所に水玉が散りばめられているので、私は精神的に高揚いたしております。そして一層深く皆様方のために私は平和と愛の使者として、芸術をもって人生を戦っていきたいと思います。皆さんも大いに働いておいでだと思いますが、私も芸術をもって朝から晩まで毎日毎日、絵を描いて暮らしております。そして自分が絵を描かないでいる時は窓から飛び降りて自殺したいと思うくらい、自分の美術は私にとって全てであります」と自身の芸術活動における熱い想いを語った。
また「ファッションにおいてはルイ・ヴィトンの協力により、全世界の140ヵ所でこの人形のようなのが、そして私の個展が開かれ、多くの方が喜んでくれました。このような壮大な場所を設けていただいたことに心から感謝し、このカフェを設けてくださった森美術館の人々の精神的な新しさ、時代を先取る新しい思想、そして芸術に対し深く憧憬された素晴らしい皆さんに対して、心を込めた戦いを皆さんと一緒にして、世界平和のために、この乱れた様々な闘争や貧困や爆弾テロだとかを一日も早く取り消すために、私たちは心を合わせて平和のために尽くしたいと思っています。その気持ちを代弁して、森美術館の方々が私に語ってほしいと言われて、こちらにお目にかかっている次第であります」と続け、愛を込めたメッセージを会場の来客に伝えた。
そしてまた、「私は詩を書いたり小説を書いたりすることもありますので、その一部を抜粋してご紹介したいと思います」「つまらない詩ですがどうぞお聞きください」といくつか詩の朗読やそれをメロディーに乗せた歌を来場者にプレゼントした。草間が赤い水玉のファイルを開き詠み上げた詩を一部抜粋して紹介する。
美しさとはなんであろうか。それは愛の原型である。
死が待ち構えていてもかまうものか。そして一層、王道を走れ。
<中略>
それもひそかに私は隠してきたのだ。今まで。この悩みを夜中に起きて詩を書いてみた。そして朝の光が庭を照らし出したときに、愛に満ちた人間の原型が自分を取り巻いてしまう。
ささくれてぼろぼろになった、この心よ。それでも高い空の雲にあこがれて、私は王道を走っていくのだ。
死はなんであるかを見極めるまで走り続けよう。
人はなんだろうか。
<中略>
死よ、もう私に語り掛けないで。なぜなら私の中に死に対する官能が燃え盛ってきたのだから。
私の生きる道は死ばかりを考えて歩むことではなく、私の生の限りを芸術の力をもって羽ばたいて、天高く舞い上がりたいのだ。もし神が雲の中でうずもれているならば、私をじっと見つめてほしい。私はどんな素晴らしい生きざまを宇宙の中の足跡を刻印してきたかということを見てほしいから。
――草間彌生「生命の輝きに満ちて」より抜粋
また今回、当カフェのオープンに際し、祝辞を述べた森美術館・南條史生館長にカフェと草間彌生について聞いた。
南條館長:ある面、すべての作品が自分なんだよ。自分に対する蓄積、何度も何度も積み重ねていくこと、繰り返しで(草間さんの)作品ができているんですね。この私がいて世界があって、という構造でモノを見ている。このカフェも、作品で埋め尽くされたカフェなんだよね。
南條館長:うん。「これが私よ」っていうことになる。
南條館長:理屈じゃないんだよね。自分を愛するということが基本にあって。さっき自殺の話が出てきたけれども、自殺をしないで自分を愛して生きていくということが、人を愛することにも繋がり、それは「作品を作ることは戦いである」と言うように、人と争うというより、愛は平和につながっていくという想いがあるんだろうね。
南條館長:アメリカから帰ってきて何年か経って、1980年代頃からでしょうか。美術雑誌『美術手帖』の「美術の超少女たち」という特集があって、割と若手の女性作家が取り上げられたのだけど、その中でも草間さんが人一倍年配の「超少女」だったわけなんですね。その時くらいから認められ始めた。それまでは変な人だと思われていたから。でもアーティストにとって、変な人と言われることは勲章だからね。天才と狂気の間にいる、それがアーティストということだよね。
現在開催中のLOVE展への出展作品「愛が呼んでいる」をはじめ、9月1日(日)まで六本木ヒルズ内の各所で催されている草間彌生と六本木ヒルズのコラボレーションプロジェクト「LOVE TOKYO SUMMER 2013」。「水玉テラス」「水玉ガーデン」など様々な企画が連動し、六本木ヒルズは、この夏、水玉と草間彌生の愛の世界に覆われている。
【概要】
カフェ「私の大好きな私」
期間:2013年8月6日(火)~8月18日(日)
時間:11:00~23:00 (ショップは~21:00)
場所:ヒルズカフェ/スペース
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