夏相場特有の『膠着相場』に、日経平均は5日線と15日線を割り込み短期売買も回転効き難い=犬丸正寛の相場展望

2013年7月26日 16:46

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

  日経平均の移動平均線(日足)に、代表的なものとして『5日線』、『15日線』、『30日線』がある。5日線では超短期、15日線では1~2週間、30日線では1ヶ月ていどの売買に用いて、『買って儲かるかどうか』の勢いを見るのに用いられている。

  6月27日以降、日々の日経平均は『5日線』、『15日線』とも上回って推移していた。仮に、日経平均指数に投資した場合、買いの回転が効いていたわけである。

  しかし、26日(金)には5日線及び15日線を割り込んだ。短期売買においてさえ儲け難くなっていることを表している。幸い、中期投資の基準となる『30日線』(1万3900円ていど)に対しては余裕があり、じっくり投資型の人には慌てる必要はない。

  こうした回転の効き難くなった背景には、(1)選挙後に期待された外国人投資家の買いが入っていない、(2)決算発表が接近している中でキャノンの減額修正が響いた、(3)TPPなどで与党内がまとまり政権安定を不動にすることができるかを見極めたい──といったことがある。しかも、夏休み本番ということもある。

  とくに、マーケット心理を悪くしたのはキャノンの減額修正である。「円安効果」から、むしろ増額期待さえあったのが、一転して今12月期を減額修正した。欧州及び中国経済の悪化の影響が予想以上に厳しいということのようで、今後、輸出型銘柄においてアメリカ向け比率の大きいところは心配ないとしても欧州、中国向け比率の高いところは注意が必要という見方が強くなっている。

  まもなく、2014年3月期の第1四半期(4~6月)決算が発表となるが、ここでの通期予想の増額を期待することは難しそうである。アベノミクス効果で企業業績の上積みを期待できるのは早くて第2四半期だろう。

  一方、外国人投資家は日本株を買い越しているものの、昨年暮れや今年春のような大規模のものではない。その背景には、米国政府は新しい駐日大使に元ケネディ大統領の長女を予定するなど親密さは増しているものの、一方では選挙に勝利した安倍政権がTPP問題、消費税問題、原発問題、集団自衛権問題、憲法問題、沖縄問題などで与党内をまとめることができるかを見極めたいとの雰囲気も強いようである。もしも、与党内の足並みが乱れるようなら、また総理が次々と交代するのではないかという心配を持たれている。外国人投資家の買いが本格化するのは政権の安定度を見極めてからということのようである。

  また、来週末にはアメリカの雇用統計の発表が控えている。国内ではデトロイト市の財政破綻、外では中国など新興国の金融不安の心配などもあり金融の量的緩和縮小の行方は難しいところにある。仮に、縮小ならNYダウの位置が高いところにあるだけに下押す可能性も考えておく必要はあるだろう。

  売買代金、出来高とも盛り上がり欠ける水準での推移となっておりマーケットは力不足といえる状態。ただ、空売りを仕掛けるほどマーケットの基調が弱いということでもなく、よほどのことがない限り、日経平均は『30日線』を割り込むような大きな下げにはならないとみられる。上にも行き難く、結局、夏相場特有の膠着相場となって材料株の個別物色の展開だろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

【関連記事・情報】
【狙い場・買い場】JKHDは消費税増税関連で駆け込み需要を先取り値幅効果も(2013/07/25)
【飛び乗り飛び降りコーナー】さくらインターネットは好人気の東証マザーズで2ケタ増益と超電導技術を使った直流送電で注目(2013/07/25)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事