BOSE 創業者 アマー・G・ボーズ博士が死去

2013年7月21日 18:06

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記事提供元:エコノミックニュース

 BOSE(ボース)というと、バブル時代のクラブを思い出す。どこの店舗に行っても90%以上が同社のスピーカーだった。その時のイメージが強いのか、高音のシャリシャリ感と重低音の分離の仕方が極端であまりいい印象ではなかったことを覚えている。当時は米国のスピーカーならやはり王者はJBLといった感があった。

 音響機器ブランドのBOSEの創業者のアマー・G・ボーズ氏が、7月12日米国、マサチューセッツ州ウェイランドの自宅で死去した。83歳だった。死因については公表されていない。同氏は、BOSEの創業者であるばかりでなく、MIT(マサチューセッツ工科大学)の名誉教授でもあった。1929年、インド人移民の父と米国人教師の母の下米国フィラデルフィアに生まれた。42年、13歳の時に、彼の親の家業が不調だったので家計の足しにと得意だった電気工学の知識を用いてラジオ修理を始めたのが、同氏のビジネスの始まり。そして47年、MITに入学。電気工学を専攻して博士号を取得した。64年にBOSE社を設立。68年に同社は、その後25年以上にわたるベストセラーとなる「901スピーカー」を発表。80年代以降はメルセデス・ベンツやポルシェを始めとした多くの自動車メーカーのオーディオシステムとして数多く導入されている。前述したように、クラブを始めとする業務用スピーカーなども手がけている。また、同氏は45年以上にわたってMITで教鞭を執り、2011年には所有していたBOSE社の株式の大半を寄贈している。

 BOSE社は、オフィシャルウェブサイトで社長のBob Marescaのステートメントとして以下のように発表している。「私たちはボーズ博士の死去をアナウンスしなくてはならないことに、深い悲しみを覚えています。ボーズ博士が私たち従業員と、ボーズ社に教えてくれたことは、言葉に表現することはできません。彼は会長という以上の存在であり、いわば私たちの教師でした。いつも勇気づけてくれ、私たちの仕事を信じてくれ、不可能はないと信じてくれていました(中略)ボーズ博士が約50年前にこの会社を創業したときの原則はこれまでも、これからも決して変わりません (中略)ボーズ 博士のビジョンは私たちの歴史であり、未来であり、Bose社は今後も永遠にボーズ博士の会社であり続けます (後略)」。

 昨年、筆者は初めて、BOSEスピーカーを購入した。新しいBOSEは、以前とはその趣きをかえ、バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番 ~プレリュードとサラバンド~」を筆者の部屋で優雅に奏でてくれる。(編集担当:久保田雄城)

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