KIROBO、希望を乗せて宇宙へ

2013年6月30日 13:05

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 電通<4324>、トヨタ<7203>、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージなどが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力のもと開発研究を進めてきた「KIBO ROBOT PROJECT」により、人型宇宙飛行士ロボット「KIROBO」がついに完成した。今年の8月4日、国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて打ち上げられる予定。

 音声認識による会話機能などを備えた「KIROBO」は、日本人宇宙飛行士若田光一さんの「パートナー」として、世界でも初めてとなる宇宙での会話実験に挑むこととなる。

 26日に東京都内で行われた完成発表会では、「KIROBO」自らが、「これは小さな一歩ですが、ロボットにとっては大きな一歩です」と挨拶する場面も。「KIBO ROBOT PROJECT」のメンバーは、「ロボットと共生するという未来の夢を、宇宙という場所から世界に向けて発信したい」と、8月の打ち上げに向けての意気込みを語った。

 今回開発されたロボットは、打ち上げ用の「KIROBO」と、バックアップのための地上用ロボット「MIRATA」の2体。それぞれの身長は34センチ、体重は約1キロ。この2体の外見はよく似ているが、頭部の色はそれぞれ、「KIROBO」がホワイト、「MIRATA」がシルバーと区別されており、また機能の面でも、「MIRATA」には学習機能が搭載されていて、「KIROBO」には、宇宙空間での滞在時に予測される熱や振動への対策が施されているなどの違いがある。

 デザインはこれまで数多くのロボット・デザインを行ってきたロボ・ガレージが担当し、音声認識や自然言語処理による知能化はトヨタが、コンテンツ開発は電通が、それぞれ担当した。その他、双葉電子工業なども参加しており、「KIROBO」というネーミングには、日本の物作りへの「希望」が込められている。

 「KIROBO」は8月4日午前4時48分頃、ISSへの補給機「こうのとり」4号機に乗り、H-IIBロケット4号機によって種子島宇宙センターからISSへ打ち上げられる予定。11月ないしは12月頃に宇宙飛行士の若田さんがISSに到着すると、会話実験が開始される。その後、2014年12月以降に地球へ戻ってくる予定だ。(編集担当:滝川幸平)

■関連記事
日本の技術が拓く、新しい宇宙開発市場
衛星需要の取り込みで膨らむ宇宙産業への期待

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連キーワード

関連記事