川崎重工、サスペンション機能を持つCFRPフレームを採用した鉄道車両台車を開発

2013年6月24日 18:34

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サスペンション機能を持つCFRPフレームを採用した次世代の鉄道車両台車「efWING」(画像:川崎重工業)

サスペンション機能を持つCFRPフレームを採用した次世代の鉄道車両台車「efWING」(画像:川崎重工業)[写真拡大]

 川崎重工業は24日、台車フレームの主構造にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を採用した次世代の鉄道車両台車「efWING(イーエフ ウィング)」を開発したと発表した。CFRPは航空機等に使用されている高い強度と軽さを併せ持つ材料で、台車フレームにCFRPを採用した鉄道車両台車は世界初となる。

 今回開発した「efWING」は、従来の台車では鋼製であった台車フレームの主構造にCFRPを採用し、さらにこのCFRP製台車フレームにサスペンション機能を持たせてコイルバネを不要としている。台車フレームとコイルバネの機能をCFRP製台車フレームに集約することで、台車の軽量化と構造の簡素化を図っている。これにより、台車フレームの重量を従来比で約40%削減し、1両あたり約900kgの軽量化となることで、走行燃費向上などのランニングコスト低減とCO2排出量の削減に貢献する。

 また、「efWING」は実用化に先駆けて、アメリカ鉄道協会運輸技術センター(TTCI:Transportation Technology Center, Inc.)において約4,500kmの走行試験を実施し、基本性能と走行安全性能を確認済。特に、サスペンションの機能を持つ弓形のCFRP製台車フレームは各車輪がレールに与える力を安定させる。その結果、乗り心地を向上させるとともに、線路不整による輪重抜けを従来に比べて半分以下と大幅に改善し、脱線に対する安全性を向上させることを証明した。

 「efWING」は感性工学に基づき、性能・外観・コストをトータルにコーディネートしたデザインを採用しており、洗練された機能美によって次世代の鉄道車両台車を具現化している。

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