【話題】6月の成長戦略までは円安傾向が続く、成長戦略評価なら円安から自力経済再生へ

2013年5月13日 10:19

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<円安のシナリオ>

■日本の自動車の業績&株価好調が逆にアメリカの自動車の反発招く

  円相場が、対ドルで102円に接近している。前週、100円台に乗せた勢いを受け継いで円安が進むのは当然と受け止めつつも、この先、「どこまで円安が進むのか?」、「どこが円安の屈折点になるのか?」、といったことが個人投資家の関心となっている。

  前週末、G7が終った。(1)表立って円安への批判はなかった、(2)日本はデフレ対策に全力で取組んでいる主張を訴えた、(3)円安による輸入関連物価上昇の副作用もみられるが、日本政府の口からは円安をストップさせるような発言は見られない、などから予想すれば、世界も日本政府もまだ「円安容認」とみることができるだろう。

  むしろ、世界は長期間続いた日本がデフレから脱却ができるのか、テスト的に見守っているようでもある。日本がとくに、経済再生と財政再建を両立させるというアベノミクスが成功するなら、経済不振と財政悪化に苦しむユーロ圏にとっても手本となるはずである。アメリカに続いて日本も超金融緩和政策で経済と財政再建が進むということになれば、この先ユーロ圏も同様の政策が予想される。

  既に、アメリカは景気が回復局面から好調局面を迎えている。同時に10年間で約122兆円の強制歳出削減で財政再建にも力を入れている。日本は民主党政権下で今のような異次元金融政策を採ることができなかったため1ドル・70円台へ円高を招き、輸出不振、企業業績悪化、雇用悪化に苦しんだ。

  その輸出はここにきてかなり回復しているし、企業業績も発表の3月期決算では、2014年3月期も2ケタ増益が見込まれている。ただ、雇用については、まだ春遠しといった状況である。これらのことから、政府はもうしばらくは円安効果で輸出企業に牽引してもらい、国内景気を力強いものにしたいという気持ちではないだろうか。

  それでは、円安がどこまで進むのだろうか。リーマンショック前の110円台までという見方も聞こえてくる。しかし、いくらまでとは誰も言い難い。視点を変えると、日本の事情では、「円安希望」であっても、外国がどう出てくるかという問題もある。既に、アメリカの自動車業界は日本の円安に強く反発している。アメリカ政府としても、いつまでも自国の自動車業界の声を無視することはできないだろう。とくに、これから日本の自動車各社の業績好調や株価がリーマンショック前水準更新といった景気のよい話がニュースとなりだすと円安の屈折点になる可能性はあるだろう。

  安倍政権としても円安容認による経済再生から成長戦略による自力での経済再生に切り換えたいはずだろう。決算発表が一巡し、6月に予定されている成長戦略をマーケットがどのていど評価するかが見所だろう。高い評価ならテーマは円安から成長戦略に移っていくものとみられる。

  反対にもし、成長戦略は期待できないということになれば、その時はまた円安に軸足が移る可能性がある。しかし、その場合の円安には現在と大きく異なり、日本売りの怖い材料も含まれることを頭に入れておかなくてはいけないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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