星光PMCの乗越厚生社長に注目の「セルロースナノファイバー」(CNF)の取組みを聞く

2013年4月26日 11:06

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

星光PMC<4963>(東1・売買単位100株)は、画期的ともいえる超軽量で高強度の『セルロースナノファイバー』を京都大学などと共に加入する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において開発した。

星光PMC<4963>(東1・売買単位100株)は、画期的ともいえる超軽量で高強度の『セルロースナノファイバー』を京都大学などと共に加入する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において開発した。[写真拡大]

■鉄に比べ軽さ5分の1、強さ5倍以上の優れもの、「乗用車車重量を20キログラム軽減」

  星光PMC<4963>(東1・売買単位100株)は、画期的ともいえる超軽量で高強度の『セルロースナノファイバー』を京都大学などと共に加入する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において開発した。NEDOでは中心的存在の同社が2016年事業化を目指す。自動車軽量化などに大きい需要が見込まれる。同社の乗越厚生社長に取組みを聞いた。

■竜ヶ崎工場にテストプラント建設、来春サンプル出荷、2016年に本格事業化、第3の柱に

――マーケットで、『セルロースナノファイバー』が注目されています。どのようなものですか。

 【乗越社長】 セルロースナノファイバーは、すべての植物細胞壁の骨格成分で、植物繊維をナノサイズまで細かくほぐすることで得ることができます。特徴としては、鋼鉄の5分の1の軽さで、鋼鉄の5倍以上の強さがあり、しかも熱による変形がガラスの50分の1程度と非常に小さい、といった優れた特徴を備えています。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において開発が進められました。

――NEDOのプロジェクトに御社が含まれていたということですね。

 【乗越社長】 加入していました。加入したところは京都大学、京都市産業技術研究所、王子製紙、三菱化学、DIC、そして当社です。以前から京都大学とはお付き合いがありましたし、当社が製紙用の薬品を手がけていることで今回のセルロースナノファイバー開発ではお役に立てたと自負しています。とくに、京都大学からは、「今度の開発には星光PMCの技術が大変貢献した」という嬉しい言葉をもらっています。

――京都大学とのお付き合いはかなり以前からのようですが、これは、どのようなお考えによるものですか。

 【乗越社長】 前々社長のときに自前の研究所を持ちたいという目標から優秀な学生を採用する為に京都大学、北海道大学、九州大学などを訪問するようになりました。現在も私自身、1月には必ず大学を訪問していますし、当社の研究員も大学に派遣しています。当社第一号の研究所(現市原研究所)は1985年に千葉県市原市に設置しましたが、現在では全国に4つの研究所に約140人の研究者を擁しています。こういう技術重視の経営の結果、今回、セルロースナノファイバーの開発に当社が貢献できたものと思います。

――セルロースナノファイバーの用途ならびに御社の取組みについてお聞かせください。

 【乗越社長】 セルロースナノファイバーの特性は先ほど言いましたように単独比較では鉄の5倍の強さがありますが、樹脂中に均一に分散することで分散しない状態に比べ樹脂としての強度を3~4倍、熱による寸法変化を2割程度まで抑えることができます。このため樹脂部材としての用途が大きいと思います。たとえば、乗用車重量の約9%を占める樹脂部材を今回開発した「セルロースナノファイバー強化樹脂」に置き換えることで、樹脂の使用量を減らすことが可能で20キログラム程度の軽量化が可能となります。自動車では燃費向上のためポリプロピレンなどの軽量樹脂の使用が進んでいますが、強度が低いうえ熱膨張が大きく適用部位の拡大に限界があります。今後、セルロースナノファイバーは自動車、家電、包装・容器などの幅広い分野での需要が見込まれます。しかも、製紙用パルプという植物由来の再生可能資源を使用する為に地球に優しいということが言えます。現在は、ラボスケールでの開発ですが、これから茨城県竜ケ崎工場にテストプラントを建設し、来年春からサンプル供給を開始する予定ですが、かなりの反響を感じています。2016年には、当社第3の事業の柱として事業化を目指しています。

――ありがとうございました。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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