国際天文学連合、系外惑星の愛称募集に「待った」

2013年4月14日 12:00

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記事提供元:sorae.jp

Image credit: ESO/L. Calçada/Nick Risinger (skysurvey.org)

Image credit: ESO/L. Calçada/Nick Risinger (skysurvey.org)[写真拡大]

 12日、国際天文学連合(IAU)は「惑星を名付ける権利を買うことができるのか(Can One Buy the Right to Name a Planet?)」と題した声明をウェブサイトで公開した。系外惑星の愛称を有料の投票で決めようとする動きに対して、そのようにして付けられた名前が一切の公的な効力を持たないと警告している。

 太陽系の惑星には「地球」「木星」などの固有名がある。一方、太陽系外でも次々と惑星が見つかっており今や総数は800を超えているが、こうした系外惑星は機械的につけられた符号でしか呼ぶことができない。たとえば、我々にもっとも近い系外惑星の名前はリギルケンタウルスBという星の周りを回っているので「リギルケンタウルスBb」である。これに目を付けたのが、ウーウィングー(Uwingu)という天文普及のための基金を立ち上げた民間団体だ。ウーウィングーはリギルケンタウルスBbの発見者からも協力を得て、この惑星の愛称の募集、および応募のあった候補に対する人気投票をインターネット上で開始した。命名の提案にも投票にも課金が必要だが、人気の高かった候補には種々の特典が与えられ、一番人気の名前には命名権の栄誉が与えられるとしている。

 IAUの声明はウーウィングーを名指しこそしていないものの、「系外惑星の命名権を買えると宣伝している」機関があると述べて、「どれほどの額が払われてどれだけの票が集まろうと、公的に認知される系外惑星の名前にはつながらない」と断じている。系外惑星を機械的な符号で呼ぶことは一見つまらなく感じられるが、研究者達の混乱を避けるためには明快で体系的な命名システムが必要だというのがIAUの見解だ。

 ただし、IAUも天文学上の発見に対して社会的関心が集めることは歓迎している。系外惑星を扱う第53委員会を中心に、系外惑星に通称をつけることの是非を議論したのちに結果を公表するという。

 
■A public name for ‘Bb’
http://www.uwingu.com/a-public-name-for-bb/#.UWl2roLx6jK

 ■Can One Buy the Right to Name a Planet?
http://www.iau.org/public_press/news/detail/iau1301/

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