三日月の明かりで鮮明な動画撮影が可能、キヤノンが新CMOSセンサーを開発

2013年3月5日 12:04

印刷

新開発の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載したカメラの試作機(画像:キヤノン)

新開発の35mmフルサイズCMOSセンサーを搭載したカメラの試作機(画像:キヤノン)[写真拡大]

  • 新開発の動画専用35mmフルサイズCMOSセンサー(画像:キヤノン)

 キヤノンは4日、動画撮影専用の35mmフルサイズ高感度CMOSセンサーを開発し、そのセンサーを搭載したカメラで撮影に成功したと発表した。

 今回キヤノンが新たに開発したのは、フルHD動画撮影専用の高感度35mmフルサイズのCMOSセンサー。画素の大きさは一辺19マイクロメートルと、キヤノンのデジタル一眼レフカメラの最上位機種である「EOS -1D X」などに使用されているCMOSセンサーに比べて7.5倍以上の面積を持っている。また、画素部および読み出し回路には、画素が大型化すると増える傾向のあるノイズを低減するための新技術を搭載している。

 これらの技術により、肉眼では認識が困難な三日月の明かり程度(0.03lux程度)の低照度な環境でも鮮明な動画撮影が可能になる。天体の動画撮影では、肉眼での認識レベルに近い電子増倍型CCDで撮影できるのが6等星程度であるのに対し、今回開発したCMOSセンサーでは8.5等星以上の暗い星の撮影が可能。

 キヤノンは、同CMOSセンサーを搭載したカメラの試作機を用い、線香の光以外には光源のない室内の様子(0.05~0.01lux程度)やふたご座流星群など、さまざまな場面での試験撮影に成功した。

 キヤノンは、同技術を天体・自然観測や医療研究などでの活用や、監視・防犯機器などへ応用することを検討するとともに、より革新的なCMOSセンサーの開発を進め、撮影領域の拡大と新しい映像表現の世界の開拓を目指す。

関連記事