経済状況と立地の優位性で重要化するトルコ

2013年1月9日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 2011年の名目GDPが7743億USドルと世界第18位(欧州7位)にまで成長し、旺盛な購買意欲を持つ中間層の増大と豊富な労働人口を抱えるトルコ。2011年の実質GDP成長率も8.5%と高く、2012年もEU全体がマイナス成長の中でも2~4%の安定成長が予想されているという。こうした状況を受けて三菱電機が、三菱電機トルコを設立したと発表した。

 現在、三菱電機<6503>はトルコ国内にて空調冷熱事業、FA(ファクトリーオートメーション)事業、および社会インフラ関連事業(人工衛星、昇降機、鉄道車両用電機品等)を展開しており、2011年度は98億円を売上げている。しかし、同国に現地法人は設立しておらず、今回が初めての新会社設立となる。資本金は約1億円で、出資比率は三菱電機ヨーロッパが70%、三菱電機が30%とのこと。この新会社を核に、海外市場の中でも今後成長が見込まれるトルコを重点市場の1つと位置付け、事業拡大を図るという。

 その他、昨年9月には住友ゴム<5110>が、トルコ国内市場における日系自動車メーカーの生産増が見込まれるとして、トルコにタイヤ製造・販売の合弁会社設立を発表するなど、トルコを重視する企業が増えつつある。

 好調な経済状況と、今後大幅な販売増が見込まれる中東・北アフリカ・ロシア等新興市場及び欧州市場に近い立地で注目を集めるトルコ。しかしジェトロによると、トルコ統計機構が2012年12月10日に発表した2012年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比1.6%と、前年同期の8.4%、市場予測の2.6%を大きく下回り、過去12四半期で最低の伸びとなっている。最大の要因は、民間投資および消費が予想以上に落ち込んだとこで、政府の中間経済プログラムでの通年3.2%の目標達成は難しくなったとみられている。この落ち込みは一時的なものなのか、それともこのまま停滞の一途を辿るのか。トルコを重点地域とするこれらの企業の動向に注目が集まるところであろう。

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