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"2.5"も登場した2世帯住宅の進化
太陽光発電やHEMSを備えた省エネ住宅である「スマートハウス」は次世代住宅として、これからも理想のかたちへと進化をしていくに違いないが、今住宅メーカーの間では多様化した「2世帯住宅」が新たな"住まい方"を提案する商品として注目を浴びている。
1970年代中盤に生まれた「2世帯住宅」は、一般的に認知されている独立した親子世帯がそれぞれの玄関やキッチンを持つというかたちだった。しかし、土地の高騰や、共働き家庭の増加など、子世帯のライフスタイルが変化するとともに需要も高くなり、さらには「2世帯住宅」の派生型として「近居」というスタイルも生まれた。
しかし近年、高齢化社会が進み、親の健康不安などで早目に「2世帯住宅」にスイッチする考え方も多くなってきており、その需要はますます高まっているという。
住宅メーカーもこの流れを大いに注目しており、各社とも様々な商品や提案を積極的に展開している。
大和ハウス<1925>は上下や隣り合わせなど仕様を、住まい手がそれぞれのライフスタイルや考え方によって選択する「自立独居」という提案を自社の商品である「xevoYU」などで行っている。そして、ユニークな商品展開をしているのが三井ホーム<1868>。光文社の女性誌「VERY」とのコラボレーション企画商品「トロワ」を昨年の12月上旬より販売開始した。仮想ユーザーを「VERY」世代の読者にも多い、家事・育児と仕事との両立に悩むママとして設定し、雑誌側の企画を取り入れることを試みた商品だ。また、2世帯住宅を重要な商品として捉えているのは大手だけではない。中堅ハウスメーカーのアキュラホームは、新たに専用のリーフレットを作成し、様々なライフスタイルや条件に合わせて、狭小地でもプライバシーを確保できるものや、将来の賃貸仕様を見据えた間取りなど、設計の自由度が高い木造軸組住宅ならではの2世帯の住まい方を提案している。
そんな2世帯住宅が多様化する中、発展形として今注目を集めているのが「2.5世帯住宅」だ。
これは「2世帯住宅」という名称を考えた旭化成ホームズが、親とその子供世帯、さらにその世帯の単身兄弟姉妹と同居するというスタイルを、新たなコンセプトとして提案したものだ。同社は古くから2世帯住宅の研究を続けており、その調査によると、最近では結婚適齢期に属する人の未婚率上昇、そして離婚率の上昇が重なった状態が多く見られ、それが2.5世帯を生む環境になっているという。子世帯の兄弟姉妹がシングルであることから"0.5世帯"という考え方が生まれているが、実際には姉妹の同居率の方が高く、また「独立2世帯住宅」のかたちが多いという。このスタイルは、姉妹がワーキングシングルである比率が高く、経済貢献や家事負担の軽減などメリットも多い。
シェアハウスの流行に見られる疑似的な家族のように、同居人との関わりを抵抗なく受け入れる若い世代や、2.5世帯住宅を上手に活用する世帯など、同じ屋根の下で生まれる新たなコミュニケーションスタイルを見据えた"住まい方"の提案が、今後の住宅トレンドを左右していくのかもしれない。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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