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【アナリストの眼】2013年の株式相場展望
■2013年は世界的な株高を想定、日本株は高パフォーマンス期待
2013年は世界的な株高を想定する。2012年に比べて警戒感が大幅に後退し、世界的な景気回復に対する期待感が高まるだろう。特に日本株に関しては、脱デフレ・日本経済再生に向けた『アベノミクス』効果で高パフォーマンスが期待され、資金流入が続く外国人投資家頼みではなく、日本の投資家が日本株に対する自信を取り戻すかどうかもポイントだろう。
主要国で政権選択選挙や指導者交代が相次いだ2012年は『政治の年』とも言われ、政権選択に対する不透明感、政治の機能不全や世界景気に対する警戒感が強い1年だった。しかし2012年終盤になると警戒感が後退し、世界の株式市場は概ね堅調な展開となった。米国ではオバマ米大統領が再選を果たし、ユーロ圏ではギリシャ支援決定や銀行監督一元化合意などで債務問題が落ち着きを見せた。中国では10年ぶりに最高指導者が交代し、社会格差拡大という課題に対して国内景気に配慮した政策や、農民の都市移住を推進する方針などを打ち出した。日本でも12月の衆院解散・総選挙で政権が交代し、市場のムードが一変した。世界的に社会格差の拡大や若年層の雇用問題が社会不安を増幅させている状況下で、緊縮財政一辺倒ではなく景気回復にも配慮した政策対応に対する期待感が高まった形だろう。
2013年も前半は、世界的な景気回復に対する期待感という流れが継続するだろう。当面の懸念材料とされた米国の『財政の崖』問題に関しては、上下院での『財政の崖』転落を回避する法案の採決が1月にズレ込んだ。歳出削減や債務上限で問題を先送りした部分もあるが、減税措置の失効状態は一時的にとどまり、当面の米国経済に対する深刻な影響は避けられる見通しとなった。米国経済は自動車市場が好調を維持し、住宅市場も回復基調である。さらに米FOMC(連邦公開市場委員会)は、失業率に目標値を設定して緩和的な金融政策を維持するとしている。今回の『財政の崖』からの転落回避で不透明感が緩和され、米国経済が支える形で世界的に景気回復期待が高まるだろう。
日本株に関しては、脱デフレ・日本経済再生に向けた『アベノミクス』に対する期待感に加えて、リーマンショック後の海外主要株式市場に対する出遅れ水準訂正の動きも強まり、主要国の中でも特に高パフォーマンスが期待できそうだ。安倍晋三首相は、1月1日付の年頭所感で「まずは『強い経済』を取り戻していく、国民一丸となって『強い日本』を取り戻していこう」と呼びかけた。7月の参院選勝利、非改選議席を含めた過半数確保による長期安定政権の樹立という最大目標に向けて、即効性のある景気対策を最優先課題として、大胆な金融政策と積極的な財政政策に取り組むだろう。
■日経平均は1万3000~1万4000円も、トヨタ自動車有望
原発・エネルギー問題、TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題、そして日中・日韓などの外交問題に関してはやや不透明感が残るが、当面は『強い経済』『強い日本』への期待感に加えて、米国の『財政の崖』からの転落回避によって為替の円高修正トレンドがより鮮明になると予想されることも追い風だろう。1ドル=90円台後半~100円近辺まで円高修正が加速する可能性もあり、輸出関連を中心に来期(13年度)の企業業績改善への期待感で、日経平均株価は1万3000円~1万4000円近辺まで上昇して、あっさりとリーマンショック前の水準を回復する場面があるだろう。
ただし日本株が長期的な上昇トレンドに入るためには、参院選通過後に『アベノミクス』効果が各種経済指標や企業業績の改善という形で確認されるだけでなく、日本経済の新成長戦略が具体的に示されるかどうかもポイントになりそうだ。少子高齢化による労働力減少が避けられず、経済成長を維持するためには製造業・非製造業を問わず革新的な生産性向上が求められる。経済のグローバル化が後戻りすることもないだろう。また為替で過度な円高が修正されても1ドル=360円に戻るわけではなく、逆に過度な円安進行は輸入インフレを引き起こしかねない。こうした状況を考慮すれば日本の新成長戦略として、過去の『モノづくり日本』の姿に囚われず、生産性向上に向けた大胆な規制改革の実施、技術イノベーションの喚起、投資環境の整備、産業構造の転換、企業の新陳代謝促進なども含めた長期戦略の構築が欠かせないだろう。
物色動向としては、当面は円高修正トレンド期待や大胆な金融緩和期待で輸出関連、景気敏感関連、金融・不動産関連など、主力大型株中心の流れが続きそうだ。また日本経済の成長戦略に関連する中期テーマとして、医療・介護分野を含めた生産性向上に寄与するロボット関連、普及が一段と加速するするネット通販関連、ソーシャルアプリ関連、クラウドサービス関連などに注目したい。いずれも新興企業に可能性を感じるが、当面の銘柄としては日本経済の象徴でありロボット技術関連としても有望なトヨタ自動車 <7203> 、ホンダ <7267> などがあるだろう。一方で、売られ過ぎた銘柄ほど反発力が強いのも相場のセオリーであることを考慮すると、東証1部市場の2012年年間下落率第4位だったグリー <3632> にも注目しておきたい。
『日本の変化』を期待して資金流入が続く外国人投資家だけでなく、日本の投資家が日本株に対する自信を取り戻すかどうかも2013年のポイントになりそうだ(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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