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アスリートの躍進が日本再生の活力源?
2012年もあと少し、今年は昨年の大震災による復興需要などもあり、経済の上向き傾向も若干は見られたが、不況であることにはやはり何ら変わりはない。しかし、スポーツ関連では明るい話題の提供もあり、テレビの前で懸命に頑張る人を応援することだけでも、気持ちが上向きになった人も多いだろう。
今年、最大のスポーツイベントといえばやはりロンドンオリンピック及びパラリンピックが挙げられる。今回、オリンピックでは史上最多の38個のメダルを獲得し、パラリンピックも16個のメダルを獲得するなど、日本列島は歓喜の渦に包まれた。「金メダルを取ったことがゴールではない。金メダルを傷つけない、金メダルに負けない人生を送るのが自分の役目」と語ったボクシング 男子ミドル級の村田諒太選手、「絶対に負けない、笑顔で終わるんだと決めて戦った。最高の舞台で最高の形で終われた」というレスリング 女子55キロ級吉田沙保里選手、体操男子個人総合決勝で合計92・690点をマークし、金メダルを獲得したう内村航平選手は「ありがとうという思いでガッツポーズした。日本チーム、国民の皆さんのために強い気持ちで演技した。これからも体操人生は続くので、演技で皆さんに恩返ししていきたい」と笑顔で演技を振り返ったのが印象的であった。帰国後、ロンドン五輪のメダリストが20日、東京・銀座で凱旋パレードは圧巻であった。約20分、1キロのパレードに50万人(主催者の日本オリンピック委員会発表)もの人々が集まり「ありがとう」と叫びながら選手に手を振る光景はまさに圧巻。テレビで見ていても、数々の感動する場面が走馬灯のように蘇り、熱い気持ちが込み上げてきただろう。
現在、日本は2020年開催のオリンピック及びパラリンピックの開催地候補として名乗りをあげているが、オリンピックは開催国にどれほどの経済波及効果をもたらすのだろうか。大手銀行であるロイズ・バンキング・グループによる調査報告書「ロンドン2012の経済効果-オリンピックとパラリンピック」によると、ロンドン開催が決まった2005年~2017年までの12年間、165億ポンド(約2兆円)の経済効果を予測している。内訳は約57パーセントが開催用の施設など、閉会後の建設業が24%、五輪関連の観光業が12%、大会運営・開催費が6%を占めるという。あくまで予測でまだ途中段階であり、「当初の予測より派期待外れだった」という声も多く聞かれているが、オリンピックの経済効果が計り知れないのは確かであろう。
また、日本国内でもロンドンオリンピックの観戦ツアーが飛ぶように売れ、銀メダルを取ったなでしこジャパンのレプリカユニフォームが完売、卓球用品やバトミントンの関連の用品の売り上げが伸長するなどあらゆる方面での経済波及効果が見られた。電通総研の試算によると、観戦ツアーやグッズ購入費、家で観戦するためのデジタル家電などの購入費を合わせ、ロンドンオリンピックに関する日本国内の個人消費は約3867億円にも上るという。また、前述の銀座凱旋パレードでは約80億円の経済効果が生まれたと言われている。これは当日、銀座界隈に集まった人々の交通費や飲食・土産代などを換算したもので、読売巨人軍も11月に同様の優勝パレードを行い、この時も38万人が集まり、大きな経済効果を生んだとされている。
もちろん、経済波及効果は目に見える物質的なものだけではない。ここ数年の日本国内は、長引く不況による消費マインドが低下し、さらに大震災、政治不安などにより、日本国民の心の虚無感が大きくなってきている。「一生懸命頑張る」という言葉の後に続く「でも頑張っても何も変わらない」という失望感の中で、「頑張ったら何かが変わる、生まれるかもしれない」という前向きな希望をアスリートたちが見出してくれたのかもしれない。
来年は2020年に東京にオリンピック及びパラリンピックを誘致する活動が本格派していく。1月には国際オリンピック委員会への立候補ファイルを提出、3月のIOC評価委員会による東京の現地調査も行われる予定となっている。7月にはスイスのローザンヌにおいて各立候補都市のプレゼンテーション、9月にはブエノスアイレスで開催される第125次IOC総会で各立候補都市の最終プレゼンテーションが行われ、その後IOC委員の投票によって開催都市が決定する。今月21日には招致活動を国内外でアピールする招致大使にサッカーの澤穂希選手、レスリングの吉田沙保里選手、フェンシングの大田雄貴選手、パラリンピック陸上の土田和歌子選手、同競泳の鈴木孝幸選手を任命したと発表している。今年6月に(特非)東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会スポーツ振興局が発表した2020年オリンピック・パラリンピック開催に伴う経済波及効果は約3兆円、雇用誘発数は約15万人と発表している。
もちろん、東京オリンピックを開催するにあたっては、経済波及効果だけでなく、交通規制や警備面での問題など、マイナス面での問題も多く発生すると考えられる。しかし日本が震災以降、元気を取り戻す礎となったものは、昨年のなでしこジャパンのワールドカップ制覇や今年のロンドンオリンピックなど、スポーツに関連することが圧倒的に多いと考えられる。2020年、低迷する日本がどこまで立ち直り、復興できているのか。経済面だけでなく、あらゆる面で世界にアピールできるチャンスを得ることができるのか、楽しみである。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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