サムスン電子、欧州での米アップル製品販売差し止め請求の取り下げを表明

2012年12月20日 21:24

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■英・仏・独など5か国でFRAND特許関連販売差し止め請求を取り下げ 「消費者選択権の制限より製品で競争する」

 サムスン電子が欧州5か国でFRAND(必須技術)特許に関して起こしたアップル製品の販売差し止め請求を取り下げるという声明を発表した。

 アップルがホームグラウンドであるアメリカの連邦地裁においてサムスン電子のスマートフォンの販売差し止めに失敗したことを受け、訴訟で販売差し止めに持ち込むのは容易ではないというサムスン側の判断が今回働いたと見られる。

 サムスン電子の今回の決定は、アメリカ連邦地裁がアップルのサムスン電子製品に対する販売差し止め請求を棄却した日に下された。また欧州地域のFRAND特許関連訴訟においてサムスン電子がアップルに対して優位にある今、現地消費者から否定的な評価を受ける可能性もあるという計算も作用したと見られる。

 競争社のアップルは行きすぎた訴訟提起によって消費者からの好感度が下がるなど逆風を浴びている状況。また最近スマートフォン販売数でアップルに倍以上の差をつけるなど製品の市場競争力でアップルを十分に圧倒できるという自信から、サムスンは今回の決定を下したと考えられる。

 サムスン電子は18日、ドイツ、オランダ、イタリア、フランス、イギリスの5か国で進められているアップルとの訴訟に関し、アップル製品に対するFRAND特許関連販売差し止め請求を取り下げると明らかにした上で「消費者の選択権を制限するより製品で競争するという意志を表明した。法廷で争うよりは市場での公正な競争が重要と判断し、このような決定を下した」と説明した。

 ただ、サムスン電子は該当地域での訴訟でFRAND特許侵害に対する損害賠償請求は継続し、商用特許の侵害に関連した販売差し止め請求もそのまま進める計画だ。サムスン電子関係者は「消費者の自由な選択権を守るために販売差し止め請求を取り下げた。ヨーロッパの消費者が多様な製品から自由に選択できるようにし、市場で公正な競争を広げていきたい」とコメントしている。

 業界関係者は今回のサムスン電子の決定について「サムスン電子がアップル製品販売差し止めによって消費者の選択権が制限される場合、自社製品に対する否定的なイメージが定着してしまい得るものより失うものが多いこともありうると判断したようだ」と分析している。(翻訳:中島礼子)

※この記事は재경일보提供の記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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