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燃料電池の小型・軽量・高出力製品の登場で高まる普及への期待
近年、大きな注目を集めている燃料電池。「電池」という文言が使用されているものの、燃料となる水素と酸素を反応させて電気を作るため、「発電システム」としても様々なシーンでの研究・開発が進められており、普及が図られている。
現在、最も普及し認知度が高い燃料電池は、家庭用燃料電池「エネファーム」であろう。都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作り出すエネファームは、2009年にその導入が開始。2009年の導入実績は5100台程度と振るわなかったものの、昨年の震災を機に注目度が一気に高まり、2020年までには累計140万台にまで導入が拡大するのではないかとの予測がなされている。
そして、今最も期待が高まっているのが、電気自動車よりも走行距離が長い燃料電池自動車の普及である。エネルギー業界、自動車業界等の民間企業13社が、「2015年には、燃料電池自動車の量産車を販売し、東京、愛知、大阪及び福岡の4大都市圏を中心に、100箇所程度の水素ステーションを整備することを目指す」とする、共同声明を発表。JX日鉱日石エネルギーが、2013年2月を目処に、将来の水素供給インフラ普及に向け、日本では初めてとなる、ガソリン計量機と水素充填機を並列設置したサービスステーション運営の実証実験を開始するなど、普及に向けた動きが活発化している。
さらに先日、ローム、アクアフェアリー、京都大学が、スマートフォンなど向けの携帯用電源として使用できる小型、軽量、高出力の水素燃料電池を共同開発したと会見を行った。価格は未定なものの、200Wの高出力タイプについては、地震計用として2013年春の発売を予定しているという。この新製品では、水素化カルシウムをシート状に固形化。体積3ccに満たないシート(38x38x2mm2)と水から約4.5Lの水素を発生させ、5Whrの電力を発生させることが可能とのこと。また、小型かつ常温動作が可能なことから、タブレットやPCなどのバッテリー、アウトドアや僻地での動力源、災害用バックアップ電源としても使用できる。環境面においても、二酸化炭素や有害ガスなどを一切排出せず、廃棄時も一般廃棄物として廃棄可能だという。さらに、水素発生シートはアルミでラミネートされており、20年以上の長期保存が可能だという。将来的には、発電を行う本体を電機店等で購入し、燃料となる水素発生シートをコンビニエンスストアなどで購入することが日常化するのかもしれない。
大容量から小容量まで、幅広い用途に関して技術・製品が出そろいつつある燃料電池。とはいえ、エネファームに関しては導入コストが依然として高く、マンションへの導入には不向きである。また、燃料電池自動車に関しても水素ステーション等のインフラ整備が不可欠であり、一朝一夕に普及が進むものではない。そのため、弊害が少なく身近な製品の電源となる小型・軽量・高出力な水素燃料電池の普及動向が、これから数年の燃料電池市場を左右するのではないだろうか。日本経済のみならず世界を牽引し得うる技術であるだけに、順調な成長を見せてくれることを期待したい。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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