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2024年9月期決算エグゼクティブサマリー
宮原博昭氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長の宮原です。本日はご多用の中、当社2024年9月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。私からは、11月8日に東京証券取引所にて開示した、2024年9月期決算と2025年9月期の事業計画について、要点をご報告します。
売上高は前期比13.1パーセント増の1,855億円で、過去最高となりました。これは、医療福祉分野の伸張及び2024年4月からの小学校向け教科書改訂に伴う売上の増加、さらに市進ホールディングス、グランユニライフケアサービス等の連結化によるものです。
営業利益は、前期比11.5パーセント増の68億8,000万円となりました。教室事業や出版事業の事業環境の厳しさは続いていますが、前述の医療福祉分野や学校教育事業の伸張に加え、利益率が高い語学・社会人教育事業が、予定どおり順調に進展した結果です。
経常利益も、前期比6.6パーセント増の69億円となりました。当期純利益は22億6,000万円と、すでにご報告のとおり、第1四半期の株式売却損に加え、期末に投資有価証券の評価を見直し、評価損を計上したことにより、減益となりました。
当期はROE向上を目指し、総額20億円の自社株買いを実施しました。中期経営計画「Gakken2025」の初年度でしたが、今回のテーマである「SHIFT」活動は、各所において順調に進んでいます。その結果、当期純利益以外の計画は達成しました。
2025年9月期 事業計画
2025年9月期の事業計画をご説明します。売上高は、引き続き医療福祉分野の伸張に加え、語学・社会人事業、グローバル事業を中心に増収を加速させ、当期比7.8パーセント増の2,000億円を目指します。
営業利益についても、増収に加え、組織構造改革によるコスト削減と、2024年9月期での損失処理により、当期比1.7パーセント増の70億円を見込んでいます。
当期純利益は、大きな損失処理を見込んでおらず、当期比54.8パーセント増の35億円となる見込みです。
ROEは、当期純利益の改善と先日発表した自社株買い10億円実施により、当期4.3パーセントから6.6パーセントへの上昇を見込んでいます。
引き続き、みなさまからのご理解・ご協力を賜りますよう、お願いいたします。私からのご説明は以上です。
2024年9月期 決算 連結業績サマリー
安達快伸氏(以下、安達):財務担当取締役の安達です。先ほど宮原からもお話ししましたが、あらためて、2024年9月期決算の内容をご説明します。
連結売上高は、医療福祉分野の好調と市進ホールディングス等のグループインにより、前期比13.1パーセント増収の1,855億円となりました。
営業利益は、医療福祉分野の伸張やグランユニライフケアサービス等の連結効果に加え、語学・社会人教育、小学校教科書改訂が大きく貢献し、前期比11.5パーセント増の68億8,000万円となりました。経常利益は、前期比6.6パーセント増の69億円となりました。
EBITDAでは、減価償却やのれん償却の負担が増加する中でも、営業利益が増加したことにより、前期比19.8パーセント増の111億6,000万円と、100億円を超えました。
当期純利益は、株式売却損や株式の評価減による特別損失23億5,000万円の計上により、前期比29.2パーセント減の22億6,000万円と、大きな減益になっています。
売上高 増減分析
売上高の増減分析です。前期売上高1,641億1,000万円から当期売上高1,855億6,000万円への増減要因について、ご説明します。
当期において、教育分野では123億9,000万円の増収となりました。特に教室・塾事業では、市進ホールディングスやエヌイーホールディングスの連結化影響が大きく、131億円の増加となりました。これらは前年第4四半期から連結に入っているため、当期の第1四半期から第3四半期の部分が純粋な増加分となります。
出版コンテンツでは、語学・社会人事業が堅調に推移したものの、前期の玩具事業の非連結化と出版事業での不振により、8億7,000万円の減収となりました。
園・学校事業では、幼児事業が伸び悩みましたが、小学校の教科書改訂に合わせた指導書や副読本の販売が大きく伸びました。この増収により、1億6,000万円の増収となりました。
医療福祉分野でも、89億2,000万円の増収となりました。特に高齢者住宅事業では、棟数拡大や高水準の入居率維持に加え、グランユニライフケアサービスの加入により、64億7,000万円の増収となりました。
認知症グループホーム事業、子育て支援事業でも棟数拡大と入居率・充足率の高水準維持により、それぞれ16億5,000万円、7億9,000万円の増収となりました。その他事業では、ODA支援などのグローバル事業が好調で、1億3,000万円の増収となりました。
教育分野、医療福祉分野のいずれも増収となり、合計で約214億円の増収です。
営業利益増減分析
営業利益の増減分析です。前期営業利益61億7,000万円から当期68億8,000万円への増益要因について、ご説明します。
当期の教育分野は、のれん償却の2億円増加を含めても、1億8,000万円の増益となりました。
教室・塾事業では、のれん償却の2億円増加に加え、教材出版事業での在庫評価損が発生し、2億8,000万円の減益となりました。
出版コンテンツも語学・社会人事業での増益がありましたが、出版事業での在庫評価減により、1億2,000万円の減益となりました。
園・学校事業は、小学校の教科書改訂の影響が大きく、5億9,000万円の増益となりました。
医療福祉分野では、のれん償却が1億6,000万円ほど増加したものの、3億8,000万円の増益となりました。
高齢者住宅事業は、既存事業に加え、グランユニライフケアサービスの貢献もあり、3億9,000万円の増益です。
認知症グループホーム事業は増収ではあったものの、結果的に4,000万円ほどの減益となりました。前期第4四半期の事業区分変更に伴い、実際よりも1億円ほど低く見えていますが、6,000万円ほどの増益です。
子育て支援事業は、充足率の高水準維持による増収もあり、3,000万円の増益となりました。その他事業では、グローバル事業の増収と物流事業での採算改善で、1億2,000万円の増益となっています。以上が、営業利益の増益要因です。
親会社株主に帰属する当期純利益の増減分析
親会社株主に帰属する当期純利益の増減分析です。2024年9月期は、営業利益、経常利益ともに前期比で増益でしたが、当期純利益は減益でしたので、その要因についてご説明します。
営業利益は前期比で7億1,000万円増加しましたが、持分法投資利益の減少と金融費用の増加で、営業外損益では2億7,000万円の悪化となりました。
持分法投資利益の減少は、期中でのJPホールディングス社の株式売却に伴い、持分法利益がなくなったことが要因です。
特別損益では、投資有価証券の売却を進め、売却益も計上していますが、JPホールディングス社の売却損などがありました。また、昨年、市進ホールディングスを連結に組み入れた際、連結上の段階取得にかかる差益が7億4,000万円ほど発生し、実質的には前期比でマイナスとなっています。
その他、固定資産の除却損1億7,000万円等もあり、特別損益は、前期比で14億8,000万円悪化しました。その結果、当期純利益では前期比9億3,000万円減の22億6,000万円となりました。
連結財政状態
連結財政状態についてご説明します。当社では、資本効率性の向上を目指し、資産圧縮を進めながらも、安全性の指標である自己資本比率の維持にも努めています。
当期末では、投資有価証券などを中心に、固定資産を前期末の737億円から676億円に減少させています。
純資産は、期中に20億円の自社株買いを実施した結果、536億円となりました。純資産は減少したものの、自己資本比率は、前期の38.7パーセントから当期は39.4パーセントに改善しています。引き続き、資本効率の向上と安全性の維持に努めていきます。
連結キャッシュフロー
連結キャッシュフローについてご説明します。まずは営業キャッシュフローです。税前純利益での56億3,000万円増加に加え、減価償却費やのれん償却費で44億7,000万円増加したことから、71億5,000万円のプラスとなりました。
投資キャッシュフローは、投資有価証券等の固定資産取得・売却で、51億2,000万円のプラスです。大きなところでは、JPホールディングス社の売却に伴い、キャッシュインしています。
子会社株式の取得収支は、グランユニライフケアサービスの株式取得が大半を占めています。これら営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせると、約90億円のプラスです。
財務キャッシュフローは、借入金の返済で約50億円、自社株買い・配当金の支払いで30億8,000万円を支出したため、93億7,000万円のマイナスです。その結果、期末の現預金残高は、187億6,000万円となりました。
EPSと年間配当金の推移
1株当たり当期純利益であるEPSと年間配当金の推移です。先ほどもご説明しましたが、当期は大きな特別損失を計上したことから、1株当たりの当期純利益は52円99銭となりました。しかしながら、年間配当の25円は維持しましたので、配当性向は47.2パーセントとなっています。
今後は当期純利益の増加を実現し、配当性向30パーセント以上を維持しながら、株主還元の向上に努めていきたいと考えています。
Gakken2025 計画数値
2025年9月期の計画についてご説明します。2024年9月期は、当期純利益とROEは計画未達となりましたが、おおむね計画を超過達成しています。
2025年9月期について、事業環境等の変化はありますが、「Gakken2025」で策定した計画から変更せず、売上高2,000億円、営業利益70億円、当期純利益35億円、ROE6.6パーセントを目指します。
2025年9月期セグメント別業績計画
セグメント別の業績計画です。2025年9月期のセグメント別業績計画は、スライドをご覧のとおりです。教育分野での教科書改訂効果による反動減はあるものの、好調な医療福祉分野での増益を見込んでいます。
2025年9月期の株主還元方針
最後に、株主還元の方針についてです。2025年9月期の株主還元方針は、基本方針に基づき、年間配当を26円に増配します。また、すでに発表していますが、10億円の自社株買いを実施します。
成長投資は維持しながらも、グループ内の資金を集約して、できるだけ効率的に運営するとともに、自社株買いを機動的に実施していきたいと考えています。
教育分野サブセグメント及び事業構成の見直し
細谷仁詩氏(以下、細谷):取締役の細谷です。私からは、教育分野の業績について、ご説明します。
まず、セグメントの見直しについてです、2024年9月期から、サブセグメントを8つから6つに変更し、報告しています。
教室・塾事業 通期業績サマリー
教室・塾事業についてです。教室・塾事業は、昨年に続き、増収で終えることができました。前期は市進ホールディングスとエヌイーホールディングスが途中からの参入でしたが、今期は通期で寄与したことが、一番の要因です。
また、既存の塾もコロナ禍が一段落し、教室数が増加しました。生徒数も、昨年度に比べ、かなり安定した運営ができたと振り返っています。
一方で、学研教室の事業は底打ちの気配があるものの、会員数の伸び悩みが続いています。そのような中で、増収となりましたが、営業利益率は前期の5.1パーセントから当期は3.7パーセントと、減益の結果になりました。
塾事業と親和性が高い、教材出版事業も同セグメントに含まれますが、こちらも書店数減少の影響があり、減益で終わりました。
出版コンテンツ事業 通期業績サマリー
出版コンテンツ事業です。出版コンテンツ事業の一番のハイライトは、出版の売上が前年よりも下回ってしまったことです。返品率も、通期を平均すると、前期に比べて悪化しています。
利益率については、新刊点数を前期より増やすための調整は奏功したものの、既刊商品の販売が伸び悩み、原価率が悪化しました。その結果、営業利益率は3.6パーセントに低下しました。
一方、成長の兆しが見えてきたのは語学・社会人教育事業で、特にオンライン英会話授業です。当社は「Kimini」というブランドを展開しており、会員数は前期比でかなり高い伸びを示しています。
また、好調な看護師向けeラーニング事業も増収のペースは変わらず、高い営業利益率を維持しています。
語学・社会人教育事業は営業利益率24.6パーセント、売上も59億2,000万円から57億8,000万円と、サブセグメントの変更はあるものの、実質増収増益で終えることができました。
園・学校事業 通期業績サマリー
園・学校事業についてです。園・学校事業は2024年9月期に、4年に一度の小学校向け教科書の改訂がありました。そこで、教育指導書やデジタル教科書の販売数が増加し、営業利益率13.9パーセントと、前年と比べて大幅な増収増益で終えることができました。
一方で、幼児事業は売上高の低下が続き、まだ底打ちとなっていない状況です。売上高は86億7,000万円と、前期比で約10パーセントの減収となってしまいました。しかしながら、コストコントロールが効いているため、営業損失は前期よりも抑えられました。
園・学校事業は、当期から桐原書店がグループインしましたので、小学校・中学校の教科書改訂のタイミングに左右されずに平準化できるよう、事業運営を推進していきたいと考えています。
医療福祉分野 通期業績サマリー
山本教雄氏(以下、山本):医療福祉分野及び中期経営計画を担当しています、取締役の山本です。
医療福祉分野の業績について、ご説明します。まず、高齢者住宅事業では、自立から介護までの多様な住み替えニーズに応えながら、新規開設やM&A、事業承継を引き続き推進してきました。
当期末までに、10拠点のサービス付き高齢者向け住宅の新規開発と17拠点のM&Aを行い、また、新規開設の早期満室化等により、入居率は97パーセント超と高い水準を維持できています。
第2四半期以降、グランユニライフケアサービス(15拠点)を連結化したことで、大幅な増収増益となりました。営業利益率も5.7パーセントと、大きく上昇しています。
認知症グループホーム事業においても、地域に密着したM&Aを積極的に推進し、順調に拠点数を増加させています。当期末までに自社開発の施設数で10棟、M&Aで5棟の計15棟を新規に開設し、既存施設の入居率も96パーセント超と、引き続き高い入居水準を維持したことで、増収となりました。
営業利益は、一部の事業のセグメント区分の変更により、若干の減益となっていますが、区分変更を除く実績では増益となっています。
子育て支援事業も、保育園定員充足率が96パーセントと、引き続き高位安定で推移したことに加え、新規に受託した学童施設の運営の安定化等により、増収増益となりました。営業利益率も2.3パーセントに上昇しています。
以上、3事業とも増収を果たしており、医療福祉分野全体で、売上高は大幅増収となる875億1,000万円、営業利益率は4.8パーセントとなりました。
Gakken2025テーマ「SHIFT」
2023年11月に発表した中期経営計画「Gakken2025」について、当期の進捗をご報告します。
「Gakken2025」のテーマである「SHIFT」について、あらためてご説明します。
今回の中期経営計画は過去最高売上高を更新し、来たる2030年に目指す姿の実現に向けて、飛躍的な成長を遂げるための準備期間と位置づけています。
この2年間で課題解決にあたり、新たな成長ステージに向かうため、グループ全体のマインドをはじめ、戦略・リソース・スピードのシフトを意識して取り組んでいます。
Gakken2025のグループ戦略
グループ戦略についてです。今中期経営計画では、教育分野、医療福祉分野ともに、領域を絞った「新たな挑戦」と、現業の「基礎的な価値向上」による競争力の強化に注力しています。そして、コーポレート機能を中心に、この取り組みを支えるべく、5つの側面から「グループ基盤の強化」を図っています。
Gakken2025重要指標
「Gakken2025」の重要指標の結果についてご説明します。グループ財務指標は、スライドをご覧のとおり、おおむね計画を上回りました。しかしながら、ポートフォリオの見直し等により、特別損失を計上したことから、当期利益率、ROEは未達となりました。
ただし、投資有価証券等の評価を期末で厳しく見ていることもあり、この特別損失は一時的なもので、最終年度である80期は大きく発生しない見込みです。
セグメント別の実績では、教育分野での回復が若干遅れていますが、医療費分野での計画を上回る伸張と、グローバル事業の順調な進捗により、全体で上回ることができています。
Gakken2025領域別テーマおよび進捗
「Gakken2025」の領域別テーマについてご説明します。既存事業領域は、市場環境やニーズが大きく変化していますが、その中でも今後拡大が見込まれる有望ニーズに着目し、対応を強化しています。
教室・塾事業では、エリア、展開拠点拡大によるプレゼンスの向上、また、新しい教育ニーズに対応すべくオンライン形態の拡充に取り組んでいます。
高齢者住宅・認知症グループホーム事業では、拠点の新規開発とロールアップに加え、介護周辺サービスの開発にも注力しています。
また、デジタルサービスにおいては、好調なオンライン英会話事業を中心に、グループ内連携を強化し、看護師向けeラーニングでは外国人向けサービスを付帯することで、さらなる拡大を目指しています。
事業ポートフォリオの「SHIFT」
事業ポートフォリオの「SHIFT」についてご説明します。「Gakken2025」においては、さらなる飛躍を目指し、ポートフォリオの整理・転換を進め、成長領域へのリソースシフトを行っています。現在までの主な進捗内容は、スライドに記載の6点です。
1 DTP社との連携強化
DTP社との連携強化についてご説明します。資本業務提携を行ったDTP社は、ベトナムでの教育市場の発展を背景に、英語教科書を中心とした出版事業及びスクーリング事業で、順調に成長しています。
学研グループとの協業範囲も広がる中、同社Phoc社長には、学研ホールディングスの執行役員として、ベトナムを中心とした東南アジア戦略も担っていただいています。
ベトナムを中心とした東南アジア市場での拡大は、着実に進んでいます。
2 (株)レアジョブとのパートナーシップ
語学・社会人教育事業におけるレアジョブ社とのパートナーシップについてご説明します。
先日8日に発表したとおり、今中期経営計画の成長領域として取り組んでいる語学・社会人教育事業において、レアジョブ社の株式を19.33パーセント取得し、資本業務提携を締結しました。
学研グループにおいても、オンライン英会話事業「Kimini」を展開していますが、本提携により、相互でのさらなる顧客基盤の拡大を進めていきます。さらに学校教育市場を含め、英語学習の多くの領域で協業し、発展していく予定です。
また、当社は将来、取締役の派遣等により同社を持分法適用会社とする予定です。
3 講談社こども教室事業の譲受
講談社こども教室事業の譲受について、ご説明します。出生率の低下により、幼児人口の減少は続いていますが、幼児教育への関心の高まりや、教育機会の導入のタッチポイントとして、幼児教育はグループにとって重要だと考えています。
従来の自宅開放型の教室では、生徒募集や出店に限界を迎えつつある中、ショッピングセンターなど集客効果の高い場所への出店に注力しており、講談社こども教室事業を譲受することになりました。こちらを、ショッピングセンター内における戦略の一環としています。
既存の幼児教室事業と併せ、ショッピングセンター内の学習施設としてプレゼンスを高めながら、学研の教育事業の起点として成長させていきたいと考えています。
4 (株)桐原書店の株式取得
学校事業における桐原書店の株式取得についてご説明します。桐原書店は英語・国語の高校向け教科書や学習参考書の出版を行っており、当社の注力領域である語学事業に対して、豊富なコンテンツを有しています。
また学校事業において、教科書改訂スケジュールに伴う変動要素が大きい小中学校向けを補完すべく、高校市場への参入が可能となりました。
特に高校向け事業は、総合選抜型などの年内入試の高まりから、小論文対策のニーズも高まっています。同事業において、強化・拡大によるシナジー効果が発揮できる分野だと期待しています。
5 園事業の再編 (株)Gakken SEEDの設立
園・学校事業における幼児事業の再編についてご説明します。園・学校事業においては、少子化の影響を大きく受けている幼児事業の再建が喫緊の課題です。
競争力の強化を目的に、グループ内で分散していた幼児向け事業を統合し、商品・サービスの開発から営業まで、一気通貫で行える組織に再編しています。
市場環境の変化や顧客ニーズへの対応を進め、一層の合理化を図りながら、コスト競争力を徹底的に強化していきます。
6 (株)グランユニライフケアサービスのM&A
グランユニライフケアサービスについてご説明します。成長を続ける医療福祉分野でも、積極的なM&Aを推進しています。その中で15拠点を有するグランユニライフケアサービスは、棟数の増加だけでなく、価格帯、介護度等においても、これまでの施設とは異なる、特色ある施設を運営しています。
お客さまの多様なニーズにも応えられるよう、引き続き、サービスバリエーションを拡充させていきます。
サスティナビリティ推進への取り組み
サステナビリティ推進への取り組みについてです。事業成長と併せて、サステナビリティ推進にも積極的に取り組んでいます。一昨年度より統合報告書を発行するとともに、ESG指標の積極的な開示と改善を進めており、ESG指数の1つであるFTSE Blossom Japan Sector Relative Indexにも採択されました。
さらに、医療福祉分野を中心に環境への取り組みとして、ZEB Ready取得にも取り組んでいます。今期は、すでに新規4棟で取得見込みとなっており、さらに認知症グループホームにおいても取得を進めています。
また、人的資本への取り組みとして、ダイバーシティ&インクルージョン室を新設し、2030年までに女性役員比率30パーセント以上の目標達成を目指します。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
最後に、資本コストや株価を意識した経営についてご説明します。2024年5月に示した対応方針に変更はありませんが、当期は構造改革の断行やポートフォリオの転換等により、一時的ではありますが、ROEが4.3パーセントまで低下しました。
成長戦略の着実な実行と併せて、資本効率の向上を進めるとともに、株主還元の強化に努めていきます。
株主のみなさまには、引き続きご支援を賜りますようお願いし、当社からのご説明を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:2025年9月期業績計画について
司会者:「2025年9月期ガイダンスは、中期経営計画最終年度の目標数値どおりとしています。2024年9月期までの進捗や新たな資本業務提携、外部成長の取り込みを進めていることを勘案すると、売上高や利益の増加、あるいは経費の増加要素が追加的に反映されるのではないかと思います。
レアジョブ社との提携、学研Link設立、桐原書店の子会社化などの寄与をどの程度見ていますか? また、それらは2025年9月期ガイダンスの上積み要素となりますか?」というご質問です。
安達:レアジョブ社との資本業務提携については、11月8日に決算発表と同時に発表しました。三井物産から19.33パーセントの株式を取得することになっています。今後、持分法の適用会社にする予定ですが、今のところまだ時期が確定していません。そのため、今回の2025年9月期の業績には組み込まれていません。
一方で、オンライン英語事業や、学校教育事業、資格事業、あるいはAIを中心としたさまざまなコンテンツの開発等により、今後、多くのシナジーが発生すると考えています。さっそく提携委員会等を立ち上げて、その深掘りを進めていく考えです。
学研Linkは、当社グループの幼児教室戦略の中で重要な位置づけになりますが、単体としては連結業績に大きな影響を与えるとは考えていません。そのため、2025年9月期の数字には組み込まれていません。
桐原書店については、もともとすでに完成している事業体で、売上としては年間で20億円後半ぐらいです。利益も一定程度出ている中で、グループに入ってくることによって一定のコストはガバナンス等で発生します。そこを見極めながら、利益計画を作成していかなければいけないと考えています。桐原書店は売上が一定の金額以上のため、今回の計画に組み込まれています。
全体的には、グループに入ることで発生するコストのマイナス要素はあるにしても、営業利益70億円の計画に対してマイナスの要素が入っているかというと、そのようなことはありません。
質疑応答:海外の業績貢献と見通しについて
司会者:「海外の業績貢献と見通しについて、売上高・利益の実績と予想を教えてください。また、ベトナムDTP社、学研教室など、主な事業別の内訳もご教示ください」というご質問です。
細谷:教室事業は、まだインパクトとして軽微ですが、シンガポール、マレーシアを中心に、今後一気に拡大していき、2030年には40万会員と、35ヶ国への展開を目指して投資を進めていきます。
DTP社に関しては、我々とのパートナーシップから1年半ほど経っており、順調に成長を続けています。当期も約1億円の投資利益が出ている状況です。当社の連結上では持分法連結子会社です。
両事業とも今後の成長が見込まれるため、グローバルでは引き続き、東南アジアを戦略地域として取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:医療福祉分野の成長戦略について
司会者:「医療福祉分野の成長戦略を教えてください。高齢者住宅、グループホーム、子育て支援の2025年9月期以降の開設数や投資額を教えてください」というご質問です。
山本:基本的には、2025年9月期以降の新規開設についても、前期と同じぐらいのペースで進めていきたいと考えています。サービス付き高齢者向け住宅はおおむね20ヶ所強、認知症グループホームについては13ヶ所から14ヶ所程度、子育て支援施設は学童と児童発達支援を合わせて10ヶ所程度という想定です。
多少の増減はあるかとは思いますが、基本的に2030年ぐらいまではそれぐらいのペースで巡行して成長させていこうと考えています。
また、地域からの事業承継などのロールアップも組み合わせながら、可能な限り早い成長を実現させていきたいと思っています。そのため、投資額等も、M&Aのタイミングやボリュームにもよりますが、既存のオーガニックの成長に関してはこれまでどおりというイメージです。
また、成長戦略について、中期経営計画の中では特に、周辺事業の強化を掲げています。これは我々の施設に向けて、例えば福祉用具の販売や衛生材の販売、ビルの修繕・清掃などを提供する機能会社や、ミールキットで食事を提供する食事提供会社があります。このような周辺事業を行うサービスを、自社内だけではなく業界の他社に対しても提供していく取り組みをすでに始めています。
施設数がかなり拡大してきており、我々の購買力も非常に上がっているのは事実です。その中で、リーズナブルな金額で業界他社にこのようなプラットフォームを提供していきながら、周辺事業の成長も行いたいと思います。
入居者に対しても、訪問介護、訪問看護、あるいは調剤(薬の提供)といったサービスを提供し始めています。これらを重層的に組み合わせ、リリースした学研のお葬式「ここりえ」のように、付加価値を高めながら、さらに重層化したサービスを提供していきたいと考えています。
質疑応答:レアジョブ社との資本提携について
司会者:「レアジョブ社との資本提携の狙いと、それによって期待される効果を教えてください」というご質問です。
細谷:レアジョブ社とのパートナーシップについては、11月8日にリリースのとおり、19.33パーセントを当社が取得した状況です。
従来、レアジョブ社とは業務提携というかたちで模索してきた中で、「Gakken2025」の「SHIFT」で掲げているポートフォリオの姿と非常に親和性が高いとして、今回、資本業務提携に至りました。
当社もオンライン英語授業の「Kimini」というプロダクトを行っていますし、レアジョブ社は学校教育においても非常に親和性の高い事業を行っています。
英語授業においては、非常に豊富なポートフォリオを持っているレアな会社で、当社のサービスと組むことで、より一層、各バリューチェーンの中でシナジーが生まれることに強い手応えを持っています。今後とも、業務提携をかなり深めていけるのではないかという感覚です。
当社に対する財務的なインパクトは、まだ定量化して計画に織り込んでいませんが、中長期的に2030年の姿に向かっては、両社とも成長していける戦略を立てつつあります。
質疑応答:医療福祉分野の新規施設開設について
司会者:「医療福祉分野は、各施設とも入居率が高水準となっています。業績を伸ばすには、新規施設の開設がポイントになると思いますが、建設費高騰などの影響により、新規の施設開設は厳しくなっていないでしょうか?」というご質問です。
山本:おっしゃるとおり、開発を取り巻く環境は、建築資材の高騰等で非常に厳しくなっています。ただし、その中においても、業界の中でトップクラスの開設スピードで開発できていることが学研の強みだと思っています。
具体的に、さまざまな工夫をしています。例えば開発においても、従来のサービス付き高齢者向け住宅のキャパシティよりも、1棟当たりの居室数を2割から3割増やすことで投資効率を高めています。
居室数が多くなると、その分の入居リスクは高まってきますが、強固な入居営業と早期の立ち上げというモデルが、非常に洗練されてきています。したがって、ほぼ以前のプロトタイプのサービス付き高齢者向け住宅の立ち上げと累積損失は変わらないペースで立ち上げができている状況です。
施設の棟数だけではなく、居室数という売上のドライバーになる部分も、我々のKPIとしながら確保しようと動いています。
また、グループホームも同様です。例えば、2ユニットのグループホームの出店について、3ユニットでの公募があれば3ユニットで出すというように、定員を増やした計画を立てたり、鉄骨で建てていた建物を木造に変換して、その利回りを合わせていったりと、出店に対する工夫も行っています。このようなことから、基本的にはこのペースでしっかりと成長させていける手応えを感じています。
当然、M&Aも大変重要になってきます。学研は今、いわゆる地域の中で後継者がいない、あるいは事業がなかなかうまくいかないところを救済するようなM&Aを、数多くこなしています。こちらは、まとまったものは投資金額が高くなりがちな反面、地域の一つひとつの事業所を丁寧に承継していくと、投資額のコストは大きく抑えられます。このような細やかな地域型のM&Aで、拠点数の拡大も引き続き進めていきます。
質疑応答:2025年9月期の利益計画について
司会者:「2025年9月期計画は、全体として中期経営計画の目標値を踏襲されています。全体として利益率が低下する計画となっている背景をご教示ください。利益面では、教育分野は引き下げ、医療福祉分野は微調整、その他と調整額でその2事業分の下振れを引き上げるかたちとなっています」というご質問です。
安達:2024年9月期の売上高営業利益率3.7パーセントに対して、2025年9月期は3.5パーセントになっています。当社グループでは、売上高営業利益率を最も重要な経営指標の1つとしており、この一時的な低下については、しっかりとしたご説明が必要であると認識しています。
教育分野は、今中期経営計画の重要な戦略になっているリカレント・リスキリング、語学事業に対する投資、あるいはグローバルに対する投資が少し先行している部分もあります。
これらの事業は、将来的に高い利益率が確保できると考えていますが、この1年から2年は、投資が少し先行すると思います。一方で、教科書事業の昨年からの反動減もあり、教育分野は利益率が少し下がったかたちです。
医療福祉分野は、やはり、人件費や調達原価が高騰している中で、売上が少し遅れて増加するような傾向もあり、既存事業は若干利益率が上がらない状況です。ただし、この領域は成長事業ですので、しっかりと利益率を確保していきます。
また、介護の周辺事業においても、大きな利益率が見込めるような事業をこれから創出し、医療福祉分野も、しっかりと利益率を意識したかたちで進めていきたいと考えています。
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