【アナリストの眼】日本株出遅れ修正続く、3月高値期日通過で好需給も

2012年9月24日 05:03

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週の相場展望】

■金融緩和効果には早くも一巡感、決算待ち雰囲気も漂う

  来週(9月24日~28日)の株式市場は、手掛かり材料難で膠着感の強い展開を想定する。流動性相場への期待感、日本株出遅れ修正への期待感、3月高値期日通過に伴う需給改善への期待感、そして9月期末のドレッシングへの期待感などが支援材料となるが、主要国・地域の金融面の政策対応が出揃ったうえに、国内外で政治空白期間に入る。10月中~下旬から本格化する7~9月期決算発表まで手掛かり材料難の中、米国の主要経済指標、スペイン国債格付けと利回り、日中関係の落ち着き具合などを睨みながらの展開だろう。

  9月6日のECB(欧州中央銀行)理事会では南欧国債購入、12日~13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)では量的緩和策第3弾(QE3)導入を決定し、18日~19日の日銀金融政策決定会合では資産買入基金10兆円増額と続いた。ユーロ圏、米国、日本という主要国・地域の金融面での政策対応がほぼ市場の期待どおりの形で出揃ったが、これで当面は打ち止めとなる。19日の日銀の追加緩和決定直後には、為替がドル高・円安方向に傾き、株式市場でも買い優勢となったが、翌20日には追加緩和の効果が早くも一巡した形となった。

  この後は国内外で政治の空白期間を迎える。日本では21日の民主党代表選で野田佳彦首相が再選されて無難な結果となったが、この後は26日の自民党総裁選を経て、10月に召集が予想される臨時国会が衆院解散・総選挙含みとなる。そして米国では大統領選が本格化する。中国については10月の共産党大会に向けて権力闘争が激化している可能性もあり、新しい指導部が出揃って路線が明らかになるまで本格的な政策対応は期待薄だろう。したがって世界的に金融面での政策対応が出尽くし、政治の空白期間入りという状況になる。

  当面は米国の主要経済指標、スペイン国債格付けと利回り、日中関係の落ち着き具合を睨みながらの展開となり、その後は米国で10月中旬から、日本で10月下旬から発表が本格化する7~9月期企業業績に関心がシフトする流れだろう。

  来週の米主要経済指標としては、24日の米8月シカゴ連銀全米活動指数、25日の米7月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米7月住宅価格指数(連邦住宅金融局)、米9月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、27日の米8月耐久財受注、28日の米8月個人所得・消費支出、米9月シカゴ地区購買部協会景気指数などがあるが、よほど大きなサプライズがない限り反応は限定的だろう。

  ユーロ問題に関しては、スペインやイタリアの国債利回りが落ち着いた状況だが、格付け会社ムーディーズ・インバスターズ・サービスが、スペイン国債格付け引き下げを視野に9月末まで調査する方針であり、警戒感を強める可能性があるだろう。

  国内企業業績に関しては、為替動向とともに、日中関係の落ち着き具合が焦点になるだろう。主要都市での反日デモは沈静化した模様だが、さまざまな分野での日中交流の中止・規模縮小、日中双方での観光客のキャンセル、そして通関業務の遅延など経済面での報復措置が指摘され、問題に便乗した日系メーカーでの中国人労働者の賃上げ要求の動きなども報道されている。

  国内の個人消費にも息切れ感が目立ち始め、エコカー補助金終了の影響も懸念されるだけに、輸出関連、中国関連、景気敏感関連の主力大型株を中心に、通期業績下振れに対する警戒感が強まるだろう。こうした影響を受けにくい復興・防災・減災関連、再生エネルギー関連、米アップル「iphone5」関連、SNS・ソーシャルゲーム関連、介護・医療サービス関連などで、値動きの軽い銘柄への物色が強まりそうだ(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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