積水ハウスが業界初のサービス付き高齢者向け住宅発売

2012年9月18日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 団塊の世代が70代を迎える平成37(2025)年までに、現在のおよそ1.5倍の2000万人を超えると予想されている75歳以上の高齢者。高齢化が急速に進む中で高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、医療・介護と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅に対するニーズが高まっている。一方で、当該サービス付きの住宅の供給は欧米各国に比べて遅れているのが実状であり、全高齢者における高齢者住宅等の定員数の割合は、米国において2.2%、英国は8.0%、デンマークに至っては8.1%であるのに対し、日本は0.9%とも言われている。

 こうした状況を受けて政府も、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)の都道府県知事への登録制度を国土交通省・厚生労働省の共管制度として昨年10月からスタート。平成32(2020)年を目途に「サ高住」を現在の10倍の60万戸にまで拡充する方針を打ち出している。

 これに呼応するように住宅メーカーも高齢者を対象とした「サ高住」に注力を開始しており、9月6日、積水ハウスが先陣を切ってサ高住専用住宅商品「CELEBLIO(セレブリオ)」の発売を発表した。新商品は同社独自の「生涯住宅思想」に基づきながら、工業化住宅メーカーとしての強みを活かし、震度7クラスの大地震でも倒壊しない、すぐれた耐震性や高い耐久性・耐火性を備えている。また、優れた断熱性・気密性によって一年中快適な住空間となっていることはもちろん、ユニバーサルデザインの採用、低ホルムアルデヒド建材採用の徹底などだけでなく、バリエーションが豊富な外観デザイン、時を経るほどにまちなみが美しくなっていく「経年美化」という考え方も導入した商品となっている。さらに最大の特徴といえるのが、自動化率95%の製造ラインでの生産や、構造及び内装・設備の見直しにより、大幅なコストダウンを実現している点であろう。

 対象となる高齢者の中には、長期ローンで購入した住宅を手放して移り住む方も増えるであろう。となると、中古住宅の流通を活発化させ、優良なストックに若い子育て世代が安心して暮らせる仕組みを構築していくことも重要となる。さらに、住宅メーカー等の供給者と実際にサ高住の事業運営を行うサービス事業者との連携も欠かせない。今後の不動産市場は、医療・介護事業との密接な連携のもと、高齢者を対象とした住宅が一つのカギを握ることになるのではないだろうか。

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