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世界の主要経済指標(分析と市場の反応)7月1日~2日分
【7月2日の主要経済指標と市場の反応】
■アジア・オセアニアと欧州は概ね上昇、米国は高安まちまち、為替はユーロ買い戻し一巡
2日の世界の主要株式市場は、日本は小幅に下落したが、アジア・オセアニア、欧州は概ね上昇した。米国は高安まちまちだった。外国為替市場ではユーロ買い戻しが一巡した。
≪2日 日本≫
6月日銀短観(企業短期経済観測調査)(12年6月調査)では、大企業製造業の業況判断指数DIがマイナス1となり、前回(3月調査)のマイナス4に比べて3ポイント改善し市場予想を上回った。大企業非製造業の業況判断指数DIはプラス8となり、前回のプラス5に比べて3ポイント改善し市場予想を上回った。東日本大震災からの復興需要やエコカー補助金など、内需効果を主因に6月調査の業況判断指数DIは改善した。
先行きの業況判断指数DIについては、大企業製造業が1(6月比2ポイント改善)、大企業非製造業が6(同2ポイント悪化)となった。内需の先行きに関しては復興需要の一巡、エコカー補助金打ち切り後の反動などが警戒されている。
なお、大企業全産業の12年度設備投資計画(土地投資額を含む)は前年度比6.2%増加となり、前回の同横ばいに比べて改善し市場予想を上回った。大企業製造業の12年度為替前提は1ドル=78円95銭で、前回の1ドル=78円14銭に比べてやや円安方向に修正された。
国税庁が発表した2012年分(1月1日現在)の路線価によると、全国約36万地点の標準宅地の評価額は平均で前年比2.8%下落となり、4年連続で下落した。ただし2011年分の同3.1%下落に比べて下落幅をやや縮小した。全ての都道府県で下落したが、3大都市圏の東京都、大阪府、愛知県は下落幅を縮小し、東北、関東信越、四国の下落幅が拡大した。
自販連が発表した6月新車販売台数(除軽)は前年同月比40.9%増加の31万7152台、全軽自協が発表した6月軽自動車販売台数は同48.4%増加の18万8190台となった。この結果、合計の6月国内新車販売台数は同43.6%増加の50万5342台となった。同東日本大震災後の供給減の反動に加えて、エコカー補助金効果が寄与した。
日本株式市場は小幅に下落した。前週末6月29日の米国株式市場が大幅上昇したことを受けて買い優勢でスタートしたが、積極的に上値を追う動きは見られず、為替が円高方向に傾いたことなどが弱材料視され、取引終了にかけて前日比マイナス圏に転じた。6月日銀短観に対する反応は限定的で、民主党の小沢元代表が離党届を提出との報道にも反応薄だった。
≪2日 アジア・オセアニア≫
中国物流購入連合会が1日に発表した6月製造業PMI(購買担当者景気指数)は50.2となり、5月の50.4に比べて0.2ポイント低下した。市場予想を上回り、景気の拡大と悪化の分かれ目となる50も上回った。しかし2カ月連続の低下で、輸出入の新規受注が低下したことなどから、景気に対する不透明感を強めた。
金融大手HSBCが2日に発表した中国6月製造業PMI改定値は48.2となった。速報値の48.1から若干上昇修正されたが、5月の48.4に比べて0.2ポイントの低下となった。
アジアの主要株式市場は高安まちまちだった。中国・上海株式市場は小幅上昇に転じて取引を終了した。韓国は下落に転じた。
≪2日 ユーロ圏≫
マークイットによるユーロ圏6月製造業PMI(購買担当者景気指数)改定値は45.1となった。速報値の44.8から上方修正され市場予想も上回ったが、5月の45.1に比べて横ばいとなり09年6月以来の低水準だった。ドイツの6月製造業PMI改定値は45.0となり、速報値の44.7から上方修正されたが5月の45.2に比べて悪化した。
ユーロ圏5月失業率は11.1%で、4月の11.0%に比べて0.1ポイント上昇して、ユーロ導入以降で過去最高水準に悪化した。ただし市場予想と同水準だった。
ユーロ圏6月製造業PMI改定値が悪化し、ユーロ圏5月失業率も過去最高水準に上昇したが、政策対応への期待感が広がり、スペインの10年債利回りが低下したことも好感し、欧州株式市場は総じて上昇した。外国為替市場ではユーロ買い戻しが一巡した。
なお、29日に合意されたESM(欧州安定メカニズム)による流通市場での国債買い入れについて、フィンランドとオランダが反対の姿勢を表明したため不透明感が警戒されている。ESMによる流通市場での国債買い入れ実施にはユーロ圏17カ国全ての合意が必要とされるが、ESMの規定にはユーロ圏が危機にさらされているとECB(欧州中央銀行)と欧州委員会が判断した場合には、85%の賛成でESMによる買い入れが可能になるとの条項がある。オランダ財務省の報道官は「オランダはケースバイケースで判断する」と述べ、ESMによる国債買い入れを阻止する立場を明確には示していない。
≪2日 米国≫
米6月ISM製造業景気指数は49.7となった。5月の53.5に比べて3.8ポイント低下し市場予想も下回った。景気判断の分かれ目となる50を割り込んだのは09年7月以来だった。
マークイット調査による米6月製造業PMI(購買担当者景気指数)改定値は52.5となった。速報値の52.9から下方修正され、10年12月以来の低水準となった。生産高、雇用、新規受注数が揃って低下した。
米5月建設支出は前月比0.9%増加となった。4月改定値の同0.6%増加(同0.3%増加から上方修正)に比べて改善し市場予想も上回った。
米国株式市場は高安まちまちだった。米6月ISM製造業景気指数の悪化を受けて売り優勢となる場面もあったが、量的緩和策第3弾(QE3)に対する期待感も広がり、ダウ工業株30種平均株価は下落幅を縮小した。原油価格は景気減速懸念で下落した。外国為替市場ではユーロ買い戻しが一巡して小動きだったが、ドル・円相場はQE3期待でドル売り・円買いがやや優勢だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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