丸紅、米穀物大手のガビロン買収を正式に発表 買収額は約2860億円

2012年5月29日 18:15

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 丸紅は29日、本日開催の取締役会において、主として北米において穀物・肥料・エネルギーのトレーディング事業を展開するGavilon Holdings, LLC(ガビロン、本社:ネブラスカ州オマハ)の持分すべてを取得するための持分譲渡契約の締結を決議したと発表した。

 丸紅は、米国に新設する子会社を通じて、持分譲渡契約の定めるところに従い、現持分保有者(米系投資家、経営者及び従業員)が直接的または間接的に保有するガビロン社の持分の100%を取得する予定。同取引における持分の取得価格は、約36億ドル(約2860億円)から持分取得の実行(クロージング)時における譲渡契約に定める価格調整を実施した金額となる予定。なお、同取引に関して、譲渡代金の支払いおよび持分の引渡し(クロージング)は、米国等における競争当局からの承認の取得および持分譲渡契約に定める条件が充足された後、速やかに実行される予定。

 ガビロン社は、米ネブラスカ州所在の穀物・肥料・エネルギーの3分野においてトレーディングおよび流通事業を展開する企業。穀物分野において、丸紅はこれまで、主に北米・南米に穀物の供給ソースを確保し、日本を含めたアジアを中心に販売力を強化してきた。世界の穀物貿易量は、中国を始めとする新興国の旺盛な需要により、今後も継続的に拡大する事が見込まれている。

 丸紅はガビロン社の買収により、同社が全米に保有する140を超える穀物集荷関連拠点を取り込み、巨大な穀物集荷流通網を獲得することに加え、同社のブラジル、豪州、ウクライナなど、米国以外の主要産地における拠点を、丸紅が既に保有する資産と組み合わせ活用していく。これにより、世界の穀物貿易における丸紅の2012年度の取扱高目標2500万トンに対し、ガビロン社の取扱量3000万トン超を加え、全世界で5500万トンを超える総取扱量を達成し、穀物トレードの競争力を更に強化していく。

 肥料分野においては、ガビロン社は、肥料受け出しターミナル・倉庫・肥料混合設備を、米国内の戦略拠点として59ヵ所保有し、米国最大規模のホールセールネットワークを構築している。一方、丸紅は既に米国で第2位の実績を持つ農業資材関連のリテール事業を行っている。今回のガビロン社買収により、丸紅はリテール事業とホールセール事業を有することになり、将来的に川上分野である肥料原料開発、肥料製造にもバリューチェーンを拡大していく事が可能となる。

 さらにガビロン社は、メキシコ、南米、アフリカ等にも15ヶ所の輸入ターミナル・倉庫・肥料混合設備を保有しており、世界20ヵ国以上において肥料販売を行っている。新興国を中心に人口が増加する中、穀物の収穫率を高める肥料事業はますます重要となっており、今回の買収により、穀物需要と共に拡大する肥料需要の取り込みを実現していく。

 また、農業関連の2分野に加え、ガビロン社は原油・天然ガス等を中心にエネルギー事業も展開している。同社は、北米において約800万バレルの原油在庫施設、約100億立方フィートに及ぶ天然ガス在庫施設および約50万バレルの石油製品在庫施設などの物流ネットワークを活用し、トレーディング事業を行っている。

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