三菱重工、全数検査に対応するコメ専用放射能検査装置を開発

2012年4月23日 16:51

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コメ専用放射能検査装置(画像:三菱重工業)

コメ専用放射能検査装置(画像:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は23日、同社が100%出資する子会社の三菱重工メカトロシステムズ(MHI-MS、本社:兵庫県神戸市)が、コメ袋に含まれる放射性セシウムを高速で測定する高精度な放射能検査装置を開発したと発表した。30kgコメ袋を受入コンベアに乗せてスタートボタンを押すだけで、1分当たり約4袋分の測定が可能なコメ専用の検査装置で、今年4月から施行された食品衛生法の新基準値にも対応する。販売開始は5月の予定。

 今回の放射能検査装置は、放射線計測機器メーカーのセイコー・イージーアンドジーと共同で開発したもの。昨年来より農作物に含まれる放射性物質に社会的関心が高まる中、福島県は今年秋に収穫されるコメから全袋検査する方針を打ち出しているが、今回開発した装置はこの全数検査に対応する。

 今回の装置は、検査室全体を遮蔽で覆い、外界からの放射線を遮断した状態で放射性セシウムを測定するのが特徴で、環境からの放射線の影響を排して高精度の測定が可能。それにより、測定下限値は5秒測定時15ベクレル/kg以下、15秒測定時10ベクレル/kg以下を実現して、新たに適用された食品衛生法の新基準値および「食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正」に対応した測定を行う。なお、搬送装置は不合格品取り出しラインの追設などユーザーの要望により多様に変更可能。また、オプションとしてコメ袋の質量計追加などにも応じる。

 装置の分析対象は放射性セシウム134と137。すでにコメ袋を使った測定試験を行い、所期の目標を達成して性能評価を完了。現在はフィールドテストを実施中で、早期の販売開始に繋げる方針。

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