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三菱重工、ボーイング787向け複合材主翼を増産 オートクレーブ2号炉を導入
三菱重工業は17日、米ボーイング社の最新鋭中型ジェット旅客機「787」向け複合材主翼の成形に用いるオートクレーブ(複合材硬化炉)の2号炉を、名古屋航空宇宙システム製作所の複合材工場(名古屋市港区)に導入すると発表した。787の増産に対応するためで、2006年から稼働している1号炉と同じく、同型式炉の中で世界最大級となる。高温・高圧で主翼形状に積層した複合材プリプレグ(熱硬化性樹脂)の硬化・成形を行う。
オートクレーブ2号炉は直径(外形)約8m、長さ約40mの円筒形状で、総重量は約700トン。片方の長さが約30mの巨大な複合材主翼を高精度かつ均一の品質で安定的に量産するために欠かせない主要設備で、その長大な片翼の上部または下部をそのまま炉内に入れて、加圧・加熱できる。芦田製作所の設計製作で、三菱重工のグループ会社で広島製作所内にある広島菱重エンジニアリング(三菱重工が100%出資)で缶体を製作した。
広島製作所から海路で運ばれた2号炉は11月15日、複合材工場が立地する名古屋航空宇宙システム製作所の大江工場敷地に隣接する名古屋港岸壁に到着。17日に工場へ搬入された。
ボーイング787は、世界で初めて複合材主翼が採用された旅客機で、初号機が今年9月にローンチカスタマーである全日本空輸(ANA)に納入され、運航が始まっている。三菱重工はその主翼の生産を担当し、大江工場敷地に複合材工場と主翼を組み立てる組立工場を稼働させている。787の増産に向けては、すでにスキン用ウォータージェット切断装置や複合材レイアップ装置も増設しており、オートクレーブ2号炉の導入により増産体制が整う。
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