添い寝に見る子育て環境の良い家とは

2011年10月24日 11:00

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 日本では古くから子どもと母親が「添い寝」するというのは習慣とされ、また親子3人で"川の字"なって寝るというのもよく聞く話だが、いったいどのような効果があり、また現代の住環境はこの就寝スタイルにどう関わっているのだろうか。

 乳児の頃は添い寝することで、安心感を与え授乳をしやすいなど日本では当たり前のスタイルとして認識されているが、欧米では夫婦関係を重視するという考え方の違いもあり、早くから子どもに専用の部屋を与え、独り立ちを促す傾向があり、これが一般的とされている。だが、最近では「添い寝」の良さがクローズアップされ、取り入れる人も除々に増えているという。

 また、幼児期などまだ低年齢の子どもを両親が挟む形で"川の字"になって寝るというスタイルも添い寝の一つとして行っている人が多いと思われるが、こちらには面白いデータが存在する。

 積水ハウスが運営する『すまい・すまいる』という家づくりを楽しむ情報サイトに掲載された「川の字で寝るのはOK、それともNG」という特集によると、親子3人で添い寝するタイプを"母親中央型"と"子ども中央型(川の字)"に分類し、それぞれの特徴を記している。この分析を行ったのは篠田有子教育学博士。「添い寝」を推奨する博士によると"母親中央型"は母子の愛着と父子の信頼関係をもとに情緒は安定し、自己抑制力が発達、社会性や自立心が育つという。また、川の字の"子ども中央型"は父母から同程度の愛情を受け情緒は安定するが、父と子の距離が近いため子どもに甘くなりがちになり、父性の厳しさが欠如していると、その子どもは自己中心的で社会性や自立心が育ちにくい危険性があるという。他にも父親が別室のタイプと子どもを別室にするタイプ(欧米型)も紹介し、それぞれの幼児期の特徴をあげている。

 そして、同博士は「添い寝」しやすい空間として和室を推奨している。転んでも痛くない子どもの遊び空間なども兼ねる畳の部屋は、日本文化の象徴的存在であり、欧米化を好む傾向の強い日本人が多い中、子育て世代には是非採用して欲しいものである。

 和室が「添い寝」向きの部屋であるといったように、子育てをしやすい住まいづくりを目指す世帯も増加しており、少子化時代だからこその傾向とも言える。大手住宅メーカーでも、大和ハウスは「ハッピーハグ」という子育て住宅を販売、また前述の積水ハウスは「キッズでざいん」と称し、"子育て"の視点だけでなく子ども自身の成長に目を向けた"子育ち"の視点を住まいづくりに取り込んでいる。さらに同社は、室内の化学物質濃度を国の基準の2分の1以下に抑えた空気環境配慮仕様「エアキス」を鉄骨戸建住宅主力商品に標準搭載するなど、子育て世代へ向けた住まいづくりを強化する動きを見せている。住まいを購入する動機づけに直結すると言っても過言ではない"子育て環境の良い家"は、今や"安全性の高さ""創エネ・省エネ"と並び必須のキーワードとなりつつある。その家は「添い寝」から始まる子育てのための空間を用意することももちろん必要だ。

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事