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ムーディーズ、トヨタの格付を1段階格下げ 市場シェアの低下や円高を懸念
大手格付け会社のムーディーズ・ジャパンは28日、トヨタ自動車および子会社の格付を「Aa2」から「Aa3 」に1段階格下げしたと発表した。また、引き続き格下げ方向での見直しを継続するという。
トヨタが、以前の強固な収益力を取り戻すまでに相当な時間を要するとともに、厳しい市場環境の下で同社の競争力が長期に渡って圧力を受けると判断した。
特に、世界主要市場における市場シェアの低下、円高(現在80-85 円/ドル)、原材料価格の高騰を格下げの理由としてあげ、「2013年3月期に向けてのトヨタの収益性の回復は、さほど芳しいものではないと想定している」とコメントしている。
円高要因については、「トヨタは、格付をしている他の日本の主要自動車メーカーに比べ輸出割合が高い」ため、為替レートの変動によって、トヨタの競争力と輸出の採算性がマイナス影響を受ける可能性があると指摘している。
米国、欧州、中国など世界の主要市場における市場シェアの低下については、韓国メーカーの台頭、米国メーカーの復活、またドイツメーカーが勢いを増していることなどにより、業界の競争環境は非常に厳しくなっていると指摘。特に低価格帯市場では、トヨタの戦略的な拡大が競合会社に遅れているとムーディーズでは見ている。
また、同社の格付を「引き続き格下げ方向での見直し」とした理由については、「同社の格付には、日本政府や国内銀行などによるサポートシステムによる要因が1 ノッチ織り込まれており、現在日本政府や国内銀行の格付が格下げ方向で見直されているため」と説明している。「仮にこれらの日本政府や国内銀行の格付が格下げされた場合、日本の多くの事業会社の格付に、引き上げ要因として織り込まれているサポートシステムの評価が弱まる可能性がある」とムーディーズは警告している。
一方、生産能力が東日本大震災による部品供給問題や電力不足などから想定以上に早い回復を見せたことや、高いコスト削減能力、低燃費車における優位性は評価された。また、「今後数年間、主要モデルの新車投入を行い、それらの新モデルによって市場シェアを支えると見ている」ともコメントしており、今後の事業活動に期待を寄せている。
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