経済産業研究所、「YouTubeでのアニメの私的配信はDVD売り上げを増加させる」という論文を公開

2011年2月5日 17:00

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記事提供元:スラド

  hylom 曰く、

 TorrentFreakで取り上げられているが、日本の経済産業研究所の田中辰雄氏が、「ネット上の著作権保護強化は必要か-アニメ動画配信を事例として」という論文を公開している。興味深いのが、「YouTubeを典型例として私的コピーによる著作権者の収益減少は限定的であり、場合によっては著作権者の収入を増やすこともある」という分析だ。

論文では、2007年10月~2008年6月までの9ヶ月間に放映が開始されたテレビアニメを対象に、YouTubeおよびWinnyによる私的コピー数がDVDの売り上げやレンタル回数にどう影響するかを分析している。さまざまな分析が行われているが、分かりやすい傾向としては「YouTubeに違法アップロードされたファイルを放置してもDVD売り上げ、レンタル回数ともに減る傾向はなく、むしろDVD販売を増やす効果がある」「テレビ放映後にYouTubeにアップロードされたファイルを削除するとDVD売り上げは減る」「Winnyでのファイル交換数が増えるとレンタル回数は減るが、DVD売り上げへの影響はない」などが挙げられている。

これを受けて論文では、「著作権者は私的コピーをあまり気にすることなく、ネット配信に乗り出すべき」「Winnyへの対策は安い料金でほぼDRMなしでの作品配信が効果的」と述べている。

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