「タイガーマスク運動」と日本企業

2011年1月24日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 群馬県中央児童相談所にランドセル10個が「伊達直人」名義で贈られたことを皮切りに、全国に続々と同名を名乗り施設等へランドセルや文房具、食べ物などを贈る人物が現れた。「タイガーマスク運動」と呼ばれるこの活動は現在さらに広がりを見せ、個人のみならず企業までもが参加し始めている。学習塾の運営を行う学究社は、1月13日に関東の児童養護施設の新小学生に500万円分のランドセルを寄付。会社として300万円、残りは役員が200万円を負担した。

 このようにして始まった「タイガーマスク運動」は、多くの国民の注目を浴びつつ、拡大化してきた。しかし日本には、以前から長年にわたり継続的に多くの寄付活動を実施している民間企業も存在している。FA機器や制御機器、電子部品の開発を行うオムロン <6645> は、盲導犬協会や日本赤十字社、ユニセフへの定期的な寄付を実施。さらに、ハイチ地震など海外へも積極的に行い、国内外を問わず幅広い活動が目立つ。空調総合メーカーであるダイキン工業 <6367> は、芸術、文化、スポーツ、教育など様々な活動に対し寄付を実施。2009年は、同社寄付総額のうち、31.7%が教育、14.9%が環境保全、14.9%が国際交流及び協力と多くの割合を占めている。また、海外への社会貢献にも積極的で、中国青海省地震の際には約1,780万円を寄付したという。みつばち産品の製造・販売を行う山田養蜂場は、同社が主催する「こどもたちのためのミツバチの童話と絵本のコンクール」の応募作品を中心に作ったチャリティカレンダーの収益金を全額カンボジアでの学校寄贈ならびに教育支援へ充てるよう寄付。2010年は収益金総額約1,150万円が寄付に充てられ、現在建設中のものも含め3校の小学校を寄贈している。

 このように企業は独自の理念や考え方に基づき、多くの寄付をしてきた。しかし、寄付大国であるアメリカに比べれば、まだまだ少ないのが事実だ。ギビングUSA財団が発表したデータによると、2009年の寄付総額はなんと3,037億ドル(日本円で約25兆円)にも達し、同年の日本の寄付総額1兆円(寄付白書2010)に比べるとその差は歴然である。「富裕層が貧しい人を支援する」というキリスト教の考え方が根付いているアメリカでは、20歳を過ぎると寄付をすることが当たり前と考える人が多く存在する。また、寄付を行うことで税金が免除されるシステムも導入。このような考え方と仕組みが社会に浸透していることで、個人の寄付率が高くなるのだ。

 このようにアメリカとは文化や制度の違いはあるが、年末より日本各地で広がりを見せる「タイガーマスク運動」。これをきっかけに、国内でも寄付やボランティア、チャリティ活動への理解が深まり、企業レベルでも個人レベルでも活動の輪が広がっていくことを期待している。

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