ラクーンは第2四半期の決算説明会を開催

2010年12月6日 17:41

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■スーパーデリバリーのブランド力向上のため、出展企業の審査基準を引上げる

  アパレル・雑貨のBtoB電子商取引プラットフォーム「スーパーデリバリー」を運営するラクーン <3031> は、12月2日に兜町平和ビルで今11年4月期第2四半期の決算説明会を行った。

  まず、取締役財務担当副社長今野智氏より、第2四半期の業績、新しく子会社となったトラスト&グロースについての説明が行われた。

  今期第2四半期業績は、売上高38億3900万円(前年同期比3.1%増)、営業利益5500万円(同10.0%減)、経常利益5300万円(同12.6%減)、純利益4900万円(同19.5%減)と増収減益。

  「アパレル業界は厳しい環境でありますが、しっかりと売上を伸ばしました。利益面については、現在、スーパーデリバリーのブランド力を向上させるため、出展企業の審査基準を引き上げていることから、新規出展企業の獲得が一時的に減少し、出展基本料金が減少している影響もあり、減益となっています」と減益理由を説明した。

  売上高の内訳は、商品売上高35億3700万円(同3.6%増)、小売店向け売上高1億2900万円(同4.9%増)、出展企業向け売上高1億7300万円(同0.7%減)。

  スーパーデリバリーの経営指標である会員小売店数、出展企業数、商材掲載数を前年同期で比較すると、会員小売店数2万8371店舗(同575店舗増)、出展企業数1034社(同20社減)、商材掲載数26万6536アイテム(同1万2210アイテム増)。

  会員小売店数も6月より審査基準を引き上げたことから新規獲得数の伸び率は鈍化。しかし、継続取引につながる会員小売店数は確実に増加している。

  出展企業数も先述しているように審査基準を引き上げたことで、減少。しかし、質の高い企業がサイト上に掲載されることで、他の優良メーカーの出展を促進させている。

■第2四半期の経常利益は、09年4月期以降では過去最高

  4半期毎の売上高、経常利益の推移を見ると、今第1四半期(5月~7月)19億700万円、1400万円、第2四半期(8月~10月)19億3200万円、3900万円となっている。第2四半期の経常利益は、09年4月期以降では過去最高である。

  販管費の売上比率は、14.7%(前期15.4%)と0.7ポイント改善している。内訳は、変動費1.6%(前期2.6%)、広告費1.9%(同1.7%)、人件費7.3%(同7.0%)、その他4.0%(同4.0%)。

  販管費の売上比率の07年からの推移は、07年28.3%、08年21.5%、09年16.1%、10年15.4%と年々改善が進んでいる。

  キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー300万円、投資キャッシュ・フロー△4100万円、財務キャッシュ・フロー3800万円となり、現金及び現金同等物の期末残高は7億5800万円(前年同期比1億9700万円増)。

  スーパーデリバリーの4半期毎の客単価、購入客数を前年同期と比較すると第1四半期21万8187円(同1万8704円増)、8046人(同196人減)、第2四半期23万4351円(同1万7615円増)、7604人(同561人減)と審査基準引き上げにより購入客数が減少。一方で、客単価は審査基準引き上げ後に獲得した会員小売店の客単価の影響で上昇している。第2四半期の客単価23万4351円は過去最高。

  審査基準を引き上げることで、質の高い会員小売店、出展企業の獲得を推進中である。現時点では、審査基準引き上げ後に獲得した新規会員数の占有率が低いが、今後高まるにつれて、客単価、購入客数の増加が予想される。

  今通期業績予想は、売上高86億円(前期比12.5%増)、営業利益1億1000万円(同7.8%増)、経常利益1億1000万円(同7.8%増)、純利益1億500万円(同2.8%減)と売上高、営業・経常利益は前期を上回るが、最終利益は減益を見込む。

■トラスト&グロースを子会社化し、今期より連結決算に移行

  また、同社は、11月17日の取締役会において、トラスト&グロースの株式の100%を取得し、11月30日付で子会社化を決議している。

  そのため、今期より連結決算に移行する。今期は、トラスト&グロースの12月1日から11年3月31日の4カ月の業績予想を取り込んでいる。

  今通期連結業績予想は、売上高86億5000万円、営業利益1億3500万円、経常利益1億3500万円、純利益1億1500万円を見込む。

  トラスト&グロースは、企業の取引に対する売掛債権を保証することで保証料を徴収し、売掛債権が支払い不能になった場合に予め設定した保証金額を企業に支払うサービスを提供している。

  同社では、今回の株式取得により、これまで外部にアウトソーシングしていた取引先に対する与信管理機能を内部に取り込むことで、中小企業間決済事業を推進する上での重要なノウハウを取得し、中小企業間決済を同社の新たな事業として事業展開を図る。

  一方で、売掛保証事業をグループ内に抱えることによるリスクに関しては、トラスト&グロースが既に売掛債権に対する与信管理ノウハウを保有しており、その実績もあるため、自社で売掛債権の与信管理の仕組みを構築する場合に比べ、むしろリスクが小さいと判断している。

  また、トラスト&グロースを連結子会社にすることで、従来トラスト&グロースへ支払っていた会員小売店の売掛債権に対する保証料が、連結決算上の内部コストとして取り扱われることで、同社の業績の向上に寄与することになる。

  今野智副社長の業績とトラスト&グロースの説明に引き続き代表取締役社長小方功氏が業界の現況と今後の事業展開について語った。

■トラスト&グロースと売掛債権保証を契約したことで売上拡大に繋がる

  「当社は、トラスト&グロースと売掛債権保証を契約してから、スーパーデリバリーで掛売決済を提供出来るようになり、その結果、決済方法の利便性向上が達成され売上拡大に繋がりました。」(小方功社長)と売掛債権保証契約により売上拡大が実現したことを冒頭に紹介した。

  これだけ不況になると与信管理が重要であるが、与信管理にはノウハウが必要であったり、手間がかかったりと事業会社が単独で与信管理を実施するのはなかなか厳しく、取引先拡大のボトルネックとなっている。スーパーデリバリーの出展企業については、スーパーデリバリーを利用することで、一部解消してきたが、スーパーデリバリー以外の取引については解消出来ないままとなっていた。事業会社は。売掛債権保証事業者のサービスを利用することで、取引先の与信リスクを気にせずに取引を行うことが可能となる。事業会社にとっては、不慣れな取引先の審査に時間をかける必要が無く、もし、取引先からの代金回収が出来なかったとしても、売掛債権保証事業者から保証額を支払ってもらえるため保証額の範囲内では損害を被る心配はない。

  「スーパーデリバリーを運営していく中で、中小企業間取引における決済機能がインフラとして重要な役割を果たすことを認識していました」(小方功社長)と以前からの決済機能について関心があったことを明かした。

■トラスト&グロースの子会社化で、決済事業を新たな事業として積極的に成長させていく方針

  これまで、同社では、取引を開始してから代金を回収するまでの必要な過程である取引先の信用力の審査、与信限度額の決定、売掛債権の請求及び管理、遅延債権の回収の4つの過程のうち、売掛債権の請求及び管理に関するノウハウは保有していたが、それ以外のノウハウである信用力の審査、与信限度額の設定等は売掛債権保証取引によりアウトソーシングすることで補完してきた。

  ところが、トラスト&グロースを子会社化することで、取引先の信用力の審査、与信限度額の決定、売掛債権の請求及び管理、遅延債権の回収といった一連のノウハウを当社内で保有することが出来るようになった。これにより、決済事業を新たな事業として積極的に成長させていく方針である。

  「スーパーデリバリーの出展企業は、スーパーデリバリー以外の顧客とも取引を行っています。そういう取引の場合にトラスト&グロースを使ってもらえるように営業を行い、顧客企業を増やすことで、成長拡大を目指します」と今後の方針を示した。

  「繊維業界の市場規模は10兆円あります。その中で大手といわれているところでも年商3000億円です。その他は小さな小売店がひしめいています。栄枯盛衰が盛んな業界です。大手メーカー、大手小売店は問屋を必要としません。しかし、ほとんどの企業が中小メーカーであり、中小の小売店であるため、問屋が必要となります。その問屋には、3つの機能が必要です。営業、決済、物流の3つです。当社では、その3つの機能について、営業はラクーンで行い、決済はトラスト&グロースが担当し、物流は宅配に依頼します。今回トラスト&グロースを子会社化したことで、中小企業間の商取引に係るインフラサービスが充実しました。当面の間スーパーデリバリーとトラスト&グロースの売掛債権保証のサービスに注力していきます」と今後の抱負を語った。

  同社は、ここまで順調に事業の拡大を実現しているが、今回、トラスト&グロースが加わったことで、事業領域が拡大し、収益力が更にアップ。成長路線が再スタートするものと思われる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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