アブラキサンが進行期悪性黒色腫患者において標準的な化学療法と比較して無増悪生存期間の有意な改善を示す
配信日時: 2012-11-01 22:06:00
メラノーマ研究学会用のアブストラクトが同学会誌のオンライン版として掲載
(スイス・ブードリー)- (ビジネスワイヤ) -- セルジーン・コーポレーション(NASDAQ: CELG)子会社のセルジーン・インターナショナルは本日、近く開催予定のメラノーマ研究学会用のアブストラクトが、同学会の公式誌にオンライン版(http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcmr.12023/abstract)として掲載されたと発表しました。このオンライン版のアブストラクトでは、転移性悪性黒色腫に対してアブラキサン(ABRAXANE®、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射剤、アルブミン結合)を使用した第III相試験の結果について検討しています。
非盲検無作為化国際治験(CA033)でアブラキサンは、化学療法未施行の転移性悪性黒色腫患者において、ダカルバジンによる化学療法を受けている患者と比較して、無増悪生存期間(PFS)の統計的に有意な改善を示しました(それぞれ4.8カ月対2.5カ月(HR:0.792、95.1% CI: 0.631、0.992、P=0.044))。副次的評価項目としての全生存期間に関する中間解析は、ダカルバジンによる治療と比較してアブラキサン治療群に有利な傾向を示しました(それぞれ12.8カ月および10.7カ月(HR:0.831、99.9% CI: 0.578、1.196、P=0.094))。
アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学医学部・アリゾナがんセンターの内科教授で治験責任医師を務めたEvan M. Hersh医師は、次のように述べています。「転移性悪性黒色腫は医療上の大きな課題ですが、その原因の一部は治療法が限られていること、診断してからの生存率が低いこと、37年間にわたって化学療法が進歩しなかったことにあります。標的治療と免疫療法の進歩にもかかわらず、転移性悪性黒色腫患者のための化学療法を含め、新薬へのニーズは依然として存在します。」
CA033治験で観察されたアブラキサンの安全性プロファイルは、アブラキサンの他のピボタル試験に匹敵するものでした。最も一般的なグレード3以上の治療関連有害事象として患者の10%以上で観察されたのは、神経障害(アブラキサン: 25%対ダカルバジン: 0%)、好中球減少(アブラキサン: 20%対ダカルバジン: 10%)でした。アブラキサン投与患者における神経障害改善までの期間のメジアンは28日でした。
これらの結果は11月11日(日)、カリフォルニア州ハリウッドで開催されるメラノーマ研究学会コングレス2012で発表されます。
現在、今回の結果に照らして規制面・臨床面での今後の戦略が検討されています。
以上の結果は1つの治験によるものです。アブラキサンは、転移性悪性黒色腫の治療に対する承認を受けていません。
CA033治験について
CA033は第III相非盲検無作為化国際治験で、化学療法未施行の第IV期転移性悪性黒色腫患者において、標準的な化学療法のダカルバジンと比較したアブラキサンの安全性と有効性を評価するものです。患者の過半数は男性で(66%)、 ECOG評定尺度が0で(71%)、転移性疾患が高度に進行していました(M1cステージ: 65%)。 ダカルバジンは1975年以来、転移性悪性黒色腫に対して米国食品医薬品局に認められている唯一の化学療法です。
CA033治験では化学療法未施行患者529人を、アブラキサン(150mg/m2、1週毎、4週間中 3週間)(n=264)または標準的な化学療法のダカルバジン(1000 mg/m2、3週間毎)(n=265)に無作為に割り当てました。主要評価項目は8週毎に撮影したCTスキャンのブラインド評価に基づく無増悪生存期間(PFS)とし、RECISTによる評価を行いました。副次的評価項目はOSとし、その他の評価項目には奏功率(ORR)、病勢制御率(DCR)、安全性・忍容性を含めました。
アブラキサンについて
アブラキサンはアルブミン結合型のパクリタキセルで、特許技術nab®を使用して製造されます。アブラキサンはヒトタンパク質のアルブミンを使用して製剤され、溶媒を使用していません。
アブラキサンは米国で2005年1月に、転移性疾病に対する複合化学療法が奏功しなかった場合およびアジュバント化学療法開始6カ月以内に再発した場合の乳がんの治療に対する承認を最初に受けました。事前の治療として、臨床的に禁忌でなり限りアントラサイクリン投与が行われているべきです。アブラキサンは転移性乳がんの治療薬として欧州、カナダ、ロシア、オーストラリア、ニュージーランド、インド、韓国、ブータン、ネパール、アラブ首長国連邦、中国でも販売されています。
アブラキサンは2012年10月に、局所進行性または転移性の非小細胞肺がんに対する第1選択薬として米国食品医薬品局の承認を受けました。承認はカルボプラチンとの併用にて、根治手術または放射線療法の候補ではない患者を対象としたものです。
アブラキサンの完全な処方情報については、http://www.abraxane.comをご覧ください。
アブラキサンは現在、膵臓がん、転移性悪性黒色腫、膀胱がん、卵巣がん、乳がん(適応拡大)の治療に向け、さまざまな段階の研究が進行中です。
アブラキサン懸濁注射剤(ABRAXANE®、タンパク結合パクリタキセル小粒子懸濁注射剤)は、転移性疾病に対する複合化学療法が奏功しなかった場合およびアジュバント化学療法開始6カ月以内に再発した場合の乳がんを適応症としています。事前の治療として、臨床的に禁忌でなり限りアントラサイクリン投与が行われているべきです。
アブラキサンは、根治手術または放射線療法の候補でない患者において、カルボプラチンとの併用にて、局所進行性または転移性の非小細胞肺がんに対する第1選択療法を適応としています。
重要な安全性情報
警告 - 好中球減少
アブラキサン治療は、ベースラインの好中球が1500/mm3に満たない患者に対して施行してはなりません。骨髄抑制(主に好中球減少)は重篤化して感染症に至る可能性があり、その発生を監視するため、アブラキサンの投与を受けるすべての患者に対して末梢血球数を頻繁に計測することが推奨されています。 注:アルブミン型のパクリタキセルは、溶解液型の場合と比較して薬剤の機能特性が大きく異なっている可能性があります。他のパクリタキセル製剤を代用したり併用したりしてはなりません。 禁忌
好中球数
アブラキサンは、ベースラインの好中球数が1500/mm3に満たない患者に使用してはいけません。 過敏症
アブラキサンに対して重篤な過敏性反応を示す患者には、再投与を試みてはいけません。 警告および注意
血液への影響
アブラキサンによる骨髄抑制(主に好中球減少)は投与量依存性の用量制限毒性です。 骨髄毒性の発生を監視するため、転移性乳がん(MBC)の場合は第1日の投与前、非小細胞肺がん(NSCLC)の場合は第1、8、15日を含め、全血球数を頻繁に計測します。 ベースラインの絶対好中球数(ANC)が1500/mm3に満たない患者にはアブラキサンを投与してはなりません。 アブラキサン治療中に重篤な好中球減少(500/mm3未満が7日以上)が見られた場合、MBCおよびNSCLCのいずれにおいても以後の治療でアブラキサンの用量を減らします。 MBC患者の場合、ANCが1500/mm3を超える水準に回復し、血小板数が10万/mm3を超えた後に、3週間毎に投与サイクルにてアブラキサン治療を再開します。 NSCLC患者の場合、サイクルの第1日にANCが少なくとも1500/mm3、血小板数が少なくとも10万/mm3に回復するか、第8日または15日にANCが少なくとも500/mm3、血小板数が少なくとも5万/mm3に回復した後、毎週のアブラキサンと3週間毎のカルボプラチンのいずれも用量を永久的に減らして、推奨されれば治療を再開します。 神経系
感覚神経障害は用量依存性、スケジュール依存性です。 グレード1または2の感覚神経障害では、一般的には投与量の修正は必要ありません。 グレード3以上の感覚神経障害が発生した場合、MBCの場合はグレード1または2に、NSCLCの場合はグレード1以下に寛解するまで治療を中止し、以後のすべてのアブラキサン治療に関して用量を減らします。 過敏症
重篤で時として致死的な過敏性反応(アナフィラキシー反応を含む)が報告されています。 アブラキサンに対して重篤な過敏性反応を示す患者には、再投与を試みてはなりません。 肝障害
パクリタキセルへの曝露や毒性によって肝障害が進行することがあるため、肝障害を持つ患者へのアブラキサンの投与は注意して行う必要があります。 中度あるいは重度の肝障害を持つ患者には、開始時の用量を減らす必要があります。 アルブミン(ヒト)
アブラキサンには、人血由来のアルブミン(ヒト)が含まれています。 妊娠中の使用: 妊娠カテゴリーD
アブラキサンは、妊娠中の女性に投与した場合に胎児に害を及ぼすことがあります。 本薬剤を妊娠中に使用する場合、または本薬剤を投与中に患者が妊娠した場合、その患者に胎児に対する危険性を伝えなければなりません。 妊娠可能な女性には、アブラキサンの投与を受けている間は妊娠を避けるよう助言しなければなりません。 男性への使用:
男性には、アブラキサンの投与を受けている間は子供をもうけることがないように助言しなければなりません。 有害反応
転移性乳がん(MBC)の無作為化試験
MBC試験におけるアブラキサンの単剤使用で最も一般的な有害事象(20%以上)は、脱毛症(90%)、好中球減少(発症80%、重篤9%)、感覚神経障害(発症71%、重篤10%)、ECG異常(全患者60%、ベースライン正常患者35%)、無力症(発症47%、重篤8%)、筋痛・関節痛(発症44%、重篤8%)、AST上昇(発生39%)、アルカリフォスファターゼ上昇(発生36%)、貧血(発症33%、重篤1%)、悪心(発症30%、重篤3%)、下痢(発症27%、重篤1%未満)、感染症(24%)でした。 感覚神経障害により229人中7人(3%)の患者がアブラキサンの使用を中止しました。 特記すべきその他の有害事象には、嘔吐(発症18%、重篤4%)、腎機能不全(発症11%、重篤1%)、体液貯留(発症10%、重篤0%)、粘膜炎(発症7%、重篤1%未満)、肝機能不全(ビリルビン増加7%)、過敏反応(発症4%、重篤0%)、血小板減少(発症2%、重篤1%未満)、注射部位反応(1%未満)がありました。アブラキサン治療を受けた全患者(n=366)の中では、眼球・視覚障害(発症13%、重篤1%)が報告されています。脱水症状と発熱も報告されています。 アブラキサン単剤と関連している可能性のある重篤な心血管イベントが患者の約3%に発生しています。イベントとしては、心臓虚血・心筋梗塞、胸痛、心停止、上室性頻拍、水腫、血栓、肺動脈血栓、肺動脈塞栓、高血圧が報告されています。 脳血管発作(卒中)と一過性脳虚血発作が報告されています。 非小細胞肺がん(NSCLC)試験
NSCLCにおけるアブラキサンとカルボプラチンの併用で、2%以上の差またはグレード3以上で発生した有害反応は、貧血(28%)、好中球減少(47%)、血小板減少(18%)、末梢神経障害(3%)でした。 NSCLCにおけるアブラキサンとカルボプラチンの併用で最も一般的な有害反応(20%以上)は、貧血、好中球減少、血小板減少、脱毛症、末梢神経障害、悪心、疲労でした。 NSCLCにおけるアブラキサンとカルボプラチンの併用で最も一般的な重篤有害事象は、貧血(4%)と肺炎(3%)でした。 最も一般的な有害反応の中でアブラキサン治療の永続的な中止の原因となったものは、好中球減少(3%)、血小板減少(3%)、末梢神経障害(1%)でした。 最も一般的な有害反応の中でアブラキサンの用量削減の原因となったものは、好中球減少(24%)、血小板減少(13%)、貧血(6%)でした。 最も一般的な有害反応の中でアブラキサン投与の保留または延期の原因となったものは、好中球減少(41%)、血小板減少(30%)、貧血(16%)でした。 アブラキサンとカルボプラチンによる併用療法を受けた患者と、パクリタキセル注射剤とカルボプラチンの併用療法を受けた患者で、同等の発生率で一般的に見られた有害反応(発生率10%以上)は、脱毛症(56%)、悪心(27%)、疲労(25%)、食欲不振(17%)、無力症(16%)、便秘(16%)、下痢(15%)、嘔吐(12%)、呼吸困難(12%)、発疹(10%)でした(発生率はアブラキサンとカルボプラチンの併用投与群のもの)。 アブラキサンおよびその他のパクリタキセル製剤の市販後情報
アブラキサンの使用では、重度で時として致死的な過敏症反応が報告されています。パクリタキセル注射剤またはヒトアルブミンに対して過去に過敏反応を示した患者におけるアブラキサンの使用に関する研究は行われていません。 主として心臓関係の既往歴を持つ患者や心毒性薬剤の使用歴を持つ患者の間で、アブラキサンの使用によるうっ血性心不全と左心室機能不全についての報告があります。 アブラキサンの溢出が報告されています。溢出の可能性があるため、薬剤投与中の浸潤がないか、アブラキサン点滴部位を注意深く監視することが推奨されています。 薬剤相互作用:
CYP2C8またはCYP3A4を阻害または誘導することが知られている薬剤と併用してアブラキサンを投与する際には注意が必要です。 特別な患者集団での使用
授乳期の母親:
パクリタキセルが母乳に排出されるか否かは分かっていません。多くの薬剤が母乳に排出されること、また乳児に重篤な有害反応が生じる可能性があることから、薬剤の母親にとっての重要性を考慮しながら授乳の中止または薬剤の中止を決定しなければなりません。 小児:
小児患者におけるアブラキサンの安全性と有効性は、評価されたことがありません。 高齢者:
MBC治療でアブラキサンの投与を受けた65歳以上の患者において有害性の頻度が顕著に上昇したことはありません。 NSCLC治療でアブラキサンとカルボプラチンを投与した65歳以上の患者において、骨髄抑制、末梢神経障害、関節痛の頻度が上昇を示しました。 腎障害:
腎障害を持つ患者でのアブラキサンの使用については、試験は行われていません。 用量と投与方法
中度・重度の肝障害を持つ患者とアブラキサン治療中に重篤な好中球減少または重篤な感覚神経障害が発生した患者については、投与量の修正が推奨されています。 ASTがULNの10倍を超えるか、ビリルビンがULNの5倍を超える場合は、アブラキサン投与を保留します。 重度の血液毒性または神経毒性が原因で、用量削減または治療中止が必要とされる場合もあります。 患者を厳密にモニタリングします。 梱包内に含まれる警告、禁忌、警告および注意、有害反応の記述を含むすべての処方情報を確認してください。
悪性黒色腫について
悪性黒色腫は皮膚がんの一種であり、皮膚内にある色素生成細胞(メラニン形成細胞)が無統制に増殖するものです。悪性黒色腫は、早期に診断されれば一般的に治癒可能な病気です。しかし、身体の他の場所に広がった場合は、皮膚がんの中で最も高い致死性と侵攻性を持ちます。転移性悪性黒色腫を持つ患者は平均余命が短く、一般的に月単位の余命となります。世界保健機関によれば、世界で毎年約13万2000人が新たに悪性黒色腫と診断されています。悪性黒色腫の事例は過去50年間に10倍に増加しており、1970年代から一貫して増加しています。アメリカ癌学会では、米国での今年の悪性黒色腫の新症例が7万6000件を超え、悪性黒色腫によって9200人近くが亡くなると推定しています。
セルジーン・インターナショナルについて
スイスのヌーシャテル州ブードリーを拠点とするセルジーン・インターナショナル(Celgene International Sàrl)はセルジーン・コーポレーションの完全所有子会社であり、国際本部です。米ニュージャージー州サミットに本社を置くセルジーン・コーポレーションは国際的な総合バイオ製薬企業で、主として遺伝子とタンパク質を調節することでがんと炎症性疾患の革新的な治療薬の創薬・開発・商業化に努めています。詳細情報については「同社」のウェブサイトwww.celgene.comをご覧ください。
将来見通しに関する記述
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