首都大学東京が逆光や影部に強い前景分離プロセッサの低消費電力化実現

プレスリリース発表元企業:Tokyo Metropolitan University

配信日時: 2012-03-22 10:00:00



(東京)- (ビジネスワイヤ) -- 首都大学東京システムデザイン学部情報通信システムコース西谷研究室は、高画質なHDTVビデオにも低消費電力かつリアルタイムで動作する個人認証も可能な高機能前景分離プロセッサのFPGA化を実現しました。

西谷研究室で今回開発した前景分離プロセッサをベースにすると、従来方式で困難であった逆光や影部にいる動く人・物の識別、影を除去した物体だけの強調、カメラの横振りやズーム動作時の動く人・物の分離、更にはカメラに近いほうの人物と遠方の人物を判断することなどの多彩な機能を実現しました。さらに複数の人物を識別しての追跡が可能になり、10人程度であれば、98%程度の確度で個人認証することができます。

試作したプロトタイプのFPGAは電力150mWと従来の1/10で動作します。さらにASIC化することで30mW以下に抑える目途が立ちました。前景分離により画像伝送容量を大幅に減らせることから、将来的にはタブレットPCやスマートフォンでの高度な上記のような動画処理、リアルタイムな画像伝送も可能になります。本前景分離プロセッサを活用してカメラの高機能化が実現できる可能性が高く、新しいマーケットを形成すると期待されます。

防犯カメラや高速道路監視カメラなどでは、雪や湖面の波によるちらつきなどのある背景から前景動画像を安定高品質に取り出す技術が求められていました。西谷研究室は、人間の目に近い輝度値の対数値を用い、1フレームの画像をブロックに分解し、ブロックへGMM(Gaussian Mixture Model)を適用することで演算量を1/10以下にする多重変換GMMによる前景分離システムを提案してきました。

従来の画素単位GMMを使用した前景分離手法は、固定カメラが前提ですが、ちらつく背景から前景を分離する能力は高いものでした。しかし、個々の画素を独立に処理するため、演算量が大きく、また大域的な明度変化にも弱いという課題がありました。さらに演算量も高解像度映像では100GOPSを遥かに超えるものでした。

新方式は演算量や必要メモリ容量が小さいので、新機能を持つ前景分離機能がLSIで実現できカメラに内蔵可能となります。ユビキタス・監視カメラとして使用される場合は前景となる監視対象がない場合には、自動的に背景情報量のみとなって必要通信容量も更に少なくなります。つまり、このような高機能な分野が一気に低価格帯のインターネットカメラに搭載されるようになると考えています。

本成果は、3月25日から京都で開催されるIEEE ICASSP 2012 (2012 IEEE International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing)にて発表される予定です。

連絡先
首都大学東京産学公連携センター
宗木好一郎
TEL:042-585-8460
e-Mail:muneki-koichiro@jmj.tmu.ac.jp

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