関連記事
人類の月面再到達は2026年秋以降 NASAがアルテミス計画の最新予定を公表
アルテミスIIの乗組員。(左から) CSA (カナダ宇宙庁) のジェレミー・ハンセン氏、NASAのクリスティーナ・コッホ氏、ビクター・グローバー氏、リード・ワイズマン氏。 (C) NASA[写真拡大]
アルテミス計画は、人類を再び月面に送り込む壮大なミッションだ。2019年5月にNASAが公表した計画では、2024年までに人類を再び月面に送り込むスケジュールだった。だが、NASAが1月9日に公表した最新情報では、そのスケジュールは大幅に遅れ、人類が再び月面に降り立つのは2026年9月以降になる見通しだ。
【こちらも】アルテミス計画でのローバーによる月面探査 NASAが詳細を公開
アルテミス計画は、IからIVまでの段階があり、アルテミスIは無人宇宙船を月周回軌道に乗せるミッションだ。当初計画では2019年に予定されていたが、これが実現したのは2022年の年末のことだった。
新型コロナによる影響で約2年間は満足にミッションを推進できなかったこともあり、この時点で既に3年の遅れが出ていた。それを考慮すれば、2026年9月の月面到達はかなり意欲的な目標に思える。
人類を月面に送り込むのはアルテミスIIIで、その前にアルテミスIIを成功させる必要がある。アルテミスIIは人を乗せた宇宙船で地球周回し、様々なテストを行う計画だ。既に4人の乗組員が決定され、氏名も公表されており、2025年9月までに実現させるスケジュールとなっている。
アルテミスII、IIIのスケジュールが遅れている理由は、クルーの人命最優先で慎重に安全対策に取り組んでいるためだ。アルテミスIで宇宙船の熱シールドから炭層の破片が予期せず消失した事象があり、NASAは原因究明と対策に取り組み今春にその結論が出る見込みだ。
ちなみにスペースX社は、アルテミスIIIの着陸システムの契約を獲得したが、これまでのところ軌道上での実験は成功していない。米国の単独国家プロジェクトであったアポロ計画と比べ、アルテミス計画に遅れが目立つのは、複数の国家と民間企業の連携によるプロジェクトであるため、それぞれの分担分野における情報を統合して共有しながら問題点を解決していくのに時間を要しているのだ。
最終段階のアルテミスIVは2028年に予定され、月を周回する宇宙ステーションの運用を行い、月に人間が長期間滞在するための基礎を築く予定だ。火星に人類を送り込むための様々なノウハウもそこで蓄積されていくことになるが、火星への道は更に険しそうだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
スポンサードリンク