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鶏卵の輸出倍増の背景と、卵は1種類でないという現実
農林水産省の調べによると、今年1月から9月にかけ前年同期に比べ輸出が増加している農林水産物や食品は、「鶏卵」「カツオ・マグロ類」「牛乳・乳製品」「コメ」だという。
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「?」と思ったのは「鶏卵」と「コメ」。前者は前年比111.6%と図抜けた増加を示し、32億円と過去最高だった2019年を既に超えている。後者については「就農者数減/高齢者割合増」とされる中で、17.6%増とは言え奇妙な印象を受けた。何故なのか。こんな風な説明がなされている。
「鶏卵の輸出先の殆どが香港。新型コロナの影響で香港にこれまで輸出してきたマレーシアやタイからの供給が減ったことに加え、香港の家庭での消費行動の変化。・・・日本の鶏卵は割高だが衛生管理が行き届いていることから、卵かけご飯や半熟たまごなど日本流の食べ方が増えた」(11月27日付け読売新聞オンライン)。
今年は周知の通り訪日外国人が激減した。だが昨年までは破竹の勢いで「観光立国:日本」が現実味を帯びていた。日本を訪れ「卵かけご飯」を知った香港人の間に「巣ごもり用食事」として浸透した結果という次第だ。ちなみに「コメ」については米国ニュージャージー州に「おむすび権兵衛」を展開しているイワイによると、「コロナ禍で禍以前に比べると(持ち帰り)需要が1割程度増えた」という当りに要因が求められそうだ。
ところで読者諸氏は一口に(鶏)卵と言っても、多数の種類があることをご存知だろうか。私自身、知らなかった。が、小林ゴールドエッグという徳島県にある企業を知り、「当社では83種類の鶏卵を扱っている」(小林真作社長)という言に接し初めて認識した。
同社では本社近隣の14拠点で5種類の鶏を飼育している。と同時に「餌の種類」「飼い方」「飼育年月」「サイズ」などを組み合わせ多品種の卵の開発と取り組んでいる。そのためには1週間に1回は、卵のデータ取りや食べ比べを行っている。データ取りをした卵は200種類以上に及ぶという。
何故に、そこまで拘るのか。小林氏は、「料理に合う、おいしく食べられる卵を送り出したい」としている。それを訴求するために、楽天市場を介しネット通販にも乗り出している。5種類以上の卵がセットになった「ソムリエたまごセット」など、19アイテムを提供している。
例えばこんな具合だ。「究極のたまごかけごはん専用たまご」「めだまやき専用たまご」「ゆでたまご専用たまご」「たまごやき・だしまき専用たまご」「親子丼・かつとじ専用たまご」「とろ~りオムレツ専用たまご」etc。主婦層やプレゼント品として好評とか。
鶏卵の輸出増に鳥インフルが妙な影を落とさないことを祈りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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