コンビニのカラクリ(2) 加盟店の”涙の廃棄処分”も、ロイヤリティ算出のもとに

2019年11月22日 17:17

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 全ての加盟店で1日に1万円の廃棄処分が出た場合、個々のオーナーにとっては9000円のロスとなるが、本部にとっては1店舗1000円のロイヤリティが生まれ、合計2万店舗分で2000万円の収入となる。廃棄処分すらも本部の収入になるのだ。もし半額の値引き販売を仮定すると、オーナーが全て被ったとしても3000円のロスで済む。本部と加盟店が折半できれば、オーナーの負担は1500円だ。

【前回は】コンビニのカラクリ(1) 加盟店の経営効率とは無縁な本部

 極端に言うと、本部にとっては加盟店で売れても売れなくても、より多くを仕入れさせた方が勝ちなのだ。そんな本部の心の有り様をうかがわせてくれるのが、時折報道される「オーナーの留守中に本部の加盟店担当者が無断発注する」事例だ。

 恐らく加盟店の担当者は「仕入れを増やさせろ」という上司の指示に迎合して、オーナーの留守をこれ幸いと無断発注に及ぶ。加盟店の担当者にとっては、上司に追い込まれた挙句の発作的な行為かも知れないが、オーナーにとってはロスを増加させるだけのとんでもない行為だ。

 5月にセブンが「販売期限の迫った弁当やおにぎりを本部の負担でポイントを付与する」と発表した時にも、セブン側が拘ったのは「あくまでも値引きではない」ということだ。値引きにすると本部と加盟店との経理処理に変更が生じて、のちのち負担割合の見直しを迫られる要因になりかねないが、ポイント付与は本部と顧客とのあいだの「その場限り」で済ませられる。現在の確立した収益構造の根本を変えたくないという、セブン本部の真意が垣間見える情報だ。

 自社加盟店の周辺に隣接店を開店させるドミナント商法も同類だ。1日の売上目標を60万円とするチェーンで、80万円を売り上げている優良店舗があったとする。すぐそばに同一チェーンの店舗を開設すると、2店舗合計では多少増加して100万円程度の売上にはなるかも知れない。しかし、以前から営業していた加盟店は落ち度がないのに、1日の売上が60万円程の並の店舗になり、後から出店した店舗は売上が40万円程度の赤字店舗に落ち着くのが関の山だ。

 だが、1日8万円だった本部のロイヤリティは、ドミナント出店により10万円に増加する。加盟店が泣いて本部が笑う、罪深いシステムだ。抗議したオーナーに本部の担当者が「本部の権利です」と言ったという話が伝えられている。

 競合する他のチェーンが近隣に店舗を構えた場合には、対抗意識に火が付いてファイトを掻き立てるオーナーは多いだろうが、同一チェーンであれば差別化のしようもない。情けなくて腹立たしい思いに悶々とするばかりだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

続きは: コンビニのカラクリ(3) おでんの手間は並みじゃないのに、煮込んだ頃には廃棄が迫る!

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