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社員の副業はイノベーションを起こすのか (2) 管理職から見た副業解禁
副業解禁以降、副業に関した様々な話題がメディアで取り上げられている。しかし、そうした情報の多くは一般社員、つまり”平社員”の視点で語られたものだ。だから、社員の副業に難色を示すような管理職の態度は、悪と見なされる傾向にある。
【こちらも】社員の副業はイノベーションを起こすのか 過度の期待には問題点も
はたして、本当に管理職の多くは部下の副業を快く思っていないのだろうか。そして、副業を成功させた部下たちは、将来その副業を捨てて管理職になりたがるのだろうか。管理職側に立った視点で、副業解禁について考えたい。
■管理職は部下の副業に積極的だが企業は消極的
2018年に実施された、アデコ(人財サービス企業「アデコグループ」の日本法人)の調査結果は少々驚きを伴った。
この調査は、上場企業に勤務する管理職510名と一般社員500名に対し、「副業・複業に関する調査」として実施された。その結果、管理職の8割以上は部下の副業を認めるべきと考えていることが分かったのだ。一方で、企業は社員の長時間勤務や過重労働、情報漏洩リスクを大きな理由に消極的な姿勢を示している。
管理職は、部下が副業することにより、コミュニケーション能力・専門的スキル・時間管理能力の向上を期待している。社員の副業に消極的な企業は批判されるが、企業が考える社員の副業によるリスクとは、的外れなのだろうか。
社員の自主性を尊重し、長時間勤務で問題が起きれば、企業の不利益になる。情報漏洩についても同様で、副業そのものではなく、リスクが増加するのを嫌っているのだろう。
社員の副業容認とイノベーション、一方でそれに絡むリスクを天秤にかけ、企業が頭を悩ませるのは当然のことかもしれない。
■管理職と副業の矛盾をどう解決するか
管理職の視点で見る副業解禁には、ある大きな違和感がある。それは、管理職には副業をするという選択肢が排除されていることだ。事実、多忙を極める管理職がさらに副業をすることは非現実的かもしれない。
だが新たな疑問は、副業の経験を積んだ社員が将来管理職になりたがるかということだ。特に副業を成功させている社員が、わざわざその副業を捨ててまで、管理職を選択しない可能性もある。フリーランスとして、個人事業主としての意識も培われることは、副業の魅力の一つだからだ。
個人としてのマネジメント感覚が、副業によって成長するのと同時に、企業に依存する必要性もなくなるかもしれない。さらなるステップアップを目指し、管理職としてのキャリアを選ぶ社員も当然いるだろう。しかし、それには副業以上に管理職の仕事が魅力的である必要がある。
社員が副業をすれば、必ずしも彼らが管理職になり、イノベーションに繋がるとは限らない。副業によって成長した社員が管理職となるかは、企業側の努力に委ねられるだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る)
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