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積水ハウス、「イクメン休業」制度運用1年 対象者100%完全取得成功
「イクメン休業」制度運用開始から1年、対象者100%取得して、9月19日を「育休を考える日」と記念日に制定し、都内で一般社団法人・日本記念日協会の加瀬清志代表理事(左)から認定証を授与された積水ハウスの仲井嘉浩・代表取締役社長[写真拡大]
積水ハウスは、子育てを応援する社会を先導する「キッズ・ファースト企業」として、ダイバーシティ推進の取り組みを一層加速させるため、男性社員の育児休業1カ月以上の完全取得を目指し、2018年9月より「イクメン休業」制度の運用を開始していた。制度運用開始から1年経過した2019年8月末時点で、取得期限を迎えた対象者253名が100%完全取得を達成したと発表した。
同時に同社は、男性の育児休業取得をよりよい社会づくりのきっかけとしたい、という思いから、9月19日を「育休を考える日」と記念日制定し、都内で一般社団法人・日本記念日協会の加瀬清志代表理事から認定証を授与された。また、「イクメンフォーラム2019」と題したイベントを開催。会場では同フォーラムに先駆け、企業で働く男性の育休取得実態を探るため、積水ハウスのダイバーシティ推進部が中心となって、全国の小学生以下の子供を持つ一般の20代〜50代の男女9400人を対象に調査を実施して得た資料「イクメン白書」を発表した。
積水ハウスが「イクメン休業」制度の運用を開始したキッカケについて、同社の仲井嘉浩・代表取締役社長は、2018年5月に海外の投資家説明会でスウェーデンを訪れ、ストックホルム郊外のスマートタウンを視察した際に目にした光景を挙げた。
「驚いたのは、スマートタウンのなかの公園でベビーカーを押して子供と散歩しているのが、ほとんどが男性だったこと」だという。
「案内役のひとに“何故、男性ばかりが……?”と訊いたところ、『当然ですよ、スウェーデンでは、子供ができたら夫は3カ月の育児休業を取得することが、法律で義務づけられていますから』というのです」と説明。
帰国後、早速「男性育児休業」の検討をダイバーシティ推進部に指示し、同年7月にすぐに3カ月は無理だが、「男性社員が1カ月以上の育児休業完全取得」を決め、9月から制度の運用を開始したという。
同社の「イクメン休業」の具体的な内容は、3歳未満の子供を持つ積水ハウスグループの男性社員を対象に、1カ月以上の育児休業完全取得を推進することだが、グループ会社も対象としたのは今年8月からだ。これについて仲井社長は、
「昨年、単独で運用を開始した際、グループ全社は企業規模などもあり無理と判断した。が、今年になって、その運用実績を見たグループ全社が『是非に休業制度を採用したい』と申し出てくれた。これには本当に感動した」と述べた。
積水ハウスが投入した休業制度には、その手続きに特徴がある。手続きのための書類が二つあり、休業取得の時期、パパ・ママそれぞれの役割などを話し合った記録「家族ミーティングシート」を作成。それを基に「イクメン休業取得計画書」を提出して直属の上司と面談して決める。計画書には、取得方法(一括あるいは分割)、取得予定日など休業中の育児参加のサポート内容などのほか、休業中の業務引継内容を記載する。ユニークなのは、書類に「配偶者の署名」が必要なことだ。「家族ミーティングシート」は任意書類だが、「イクメン休業取得計画書」は必須書類だという。
この休業制度を導入して1年で完全取得が出来たことについて、積水ハウス・ダイバーシティ推進部の伊藤みどり執行役員は、次のように説明する。
「営業支店などによっては、完全取得が難しいと思われた部署もあった。が、仕事のやり方を変え、リーダーが率先して休業取得を進めることで、達成出来た。“育休制度”は顧客に理解されるかどうか心配もあったが、単なる思い込みだった。逆に『家族を大切にしない(育休を取らない)ような社員から、家は買いたくない』という顧客の声もあった」という。
積水ハウスの「イクメン休業」制度は、取得した社員本人やその家族の満足が高かったことはもちろんだが、社員が「育児休業中」であることを顧客に丁寧に説明し、打ち合わせの日時などを調整してもらうことで、「会社としてのイメージアップに繋がった」とも伊藤役員は述べた。(編集担当:吉田恒)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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