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PayPayは100億円もの費用をかけて、キャッシュレス決済の覇権を握ったのか? (下)
対抗するLINE Pay(ラインペイ)は、14日から12月31日までの予定で20%の還元キャンペーンを始めた。最大で5千円相当の還元ということなので、ペイペイの後ではインパクトに欠けることは否めない。しかし、期間中に突然中止はないということなので、ペイペイに乗り損ねて欲求不満状態の利用者を地道に獲得するかも知れない。
【前回は】PayPayは100億円もの費用をかけて、キャッシュレス決済の覇権を握ったのか? (上)
キャッシュレス決済に関わる今回の動きを見ていると、人は従来の習慣を簡単に変えることはないが、利のあることには敏感だということを強く感じる。日本でキャッシュレス決済が広がらなかったのは、一般の人に現金決済が根付いていて不都合を感じる理由がなかったからだ。
今までの習慣と意識を転換させるには、「現金の流通には社会的に膨大なコストがかかる」という一般論は意味を持たない。一般の人が現金決済に不都合を感じていないのであれば、逆にメリットを強調して目を引くのは間違っていない。キャッシュレス決済にはこんなにメリットがあることをPRして、とにかく利用してもらうことだ。徐々に習慣化する人が増えていくと、キャッシュレス決済に対応していない店舗は肩身が狭くなる。
政府も、2019年度予算案の中にキャッシュレス決済へのポイント還元分として2千798億円を充てた。消費増税による消費の落ち込みを極力減らすための景気対策でもある。
期せずして官民が一体となって、キャッシュレス決済へのモチベーションアップを図ることになった。NTTのdポイントも楽天ペイも、年間では2000億ポイント前後の還元キャンペーンを実施しており19年の早い時期には、遅れていたKDDIが「au PAY」を始めることも見込まれる。来年携帯キャリアへ参入する楽天は、11月に決済・通信分野でKDDIと業務提携した。通信では楽天がKDDIの支援を受けるが、決済では楽天ペイの加盟小売店で、au PAYが利用できるようにして相互にメリットを提供する互恵の関係だ。
これからキャッシュレス決済は、覇権争奪の正念場を迎える。競合他社から抜け出すために各社がどんな次の手を繰り出すのか。それぞれが知恵を絞って競い合うことは、利用者のプラスにもなるはずだ。混戦の中からどこが抜け出すのか、興味は尽きない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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