メーカーの下請けいじめ! 「あるに決まってるだろう!」(2) AIとは違う「袖の下」の要求

2018年11月2日 19:27

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■AIと同じ学習法「抽象化」(要するにどういうことか?)

 親会社の経営陣が理解できなかったことが何か?技術開発というと、新製品開発などに対しては意外に理解しやすいのか努力を認めるのだが、同じ製品の造り方を変えるなど生産技術に対しては理解できないのだ。それが、劇的なコストダウンや「数千分の1ともみられる資金量が減る」ことは理解されない。

【前回は】メーカーの下請けいじめ!「あるに決まってるだろう!」(1)  さかのぼって値引き

 それはなぜか。「AIと同じ学習方法」であるところの「要するにどういうことか?」と理解する「抽象化」の理解ではなく、情報編重の知識を学んできた「経理・金融マンの弱点」と言える。金融や経理の専門家で、企業活動全体のビジネスモデルを理解できていな状態なのだ。つまり、長期の経営者としては能力不足であった。

 永い間アメリカでは、こうした「金融技術万能」の考え方がはびこり、「雇われ重役」は投資家の方向しか見ないために、長期にわたって製造・生産技術開発を怠り、日本車に敗北した事実があるのだ。それは「ラストベルト」と言われる地域を造り、現在に至っても反省するどころか「日本車に関税をかける」との理論になっている。日本車に負けない高性能、高品質で低価格の小型車を造り、日本市場で戦ってみればよいのだ。すると、「5年先には資金回収する投資計画」では、太刀打ちできないことが知れるだろう。

 トヨタが今日有るのは、「トヨタかんばん方式」のおかげであるのは明白なことだ。製造の中で知識集約型ともみられる自動車産業は、特に「造り方」で利益を出すものだ。だから下請けは、どれほどいじめられても「優位な製造・生産技術」を確保し、切り捨てされないようにしなければならないのだ。たとえ「利益を丸ごとぬすまれて」も・・・

■ガバナンスが効いていない場合「袖の下」を要求

 親会社(発注者側)の経営者が正常であり、コストダウン要求を部下にも正常に要求しているが、部下が個人的趣向や利害で下請けいじめをする場合。これが一番多いいのではないか。つまり、AIとは違って企業利益をまともに考えずに、担当者レベルで「袖の下」を要求したり、自分の会社の利害も無視し、担当者と「相性」が合わない程度で自分の有利な権限で下請けいじめをするのが「当たり前」となっていると見なければならない。AIに学習させるデータ次第では、AIも「ここで下請けに袖の下を要求するべき」と答えるのだろうか?笑える話だが、現実は笑えないかもしれない。現実のデータをAIに学習させると、裏側も見えてくるかもしれない。

 それは発注側の企業利益を棄損しているのであり、経営者が部下を正常に管理統制できていないのだ。こうした企業は無駄が多く、意外に利益率の高い企業に見受けられる乱れだ。「袖の下」「接待」などは当然のように行われており、発注担当者も、自分の気の合う下請け経営者とつるむものだ。これを企業の利益に立場をとって、正常にコントロールできている経営者を私は見たことがない。そういう自分も、部下の動きを全ては管理できていなかった。

 メーカーと下請けとの取引は、契約関係であり労働基準法の保護はない。労働組合の保護もなく、理不尽な親会社の要求を糾弾する術は限られる。でもほとんどは、親会社経営陣の自社の「ビジネスモデル理解不足」によるものだ。

 次は、ビジネスモデルの理解不足による損害についてみてみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: メーカーの下請けいじめ! 「あるに決まってるだろう!」(3) 業績不振による企業の断末魔

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