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オリンピックに向けサマータイム導入か その経済効果は?
政府・与党は、2020年の東京五輪・パラリンピックの酷暑対策として、夏の時間を2時間繰り上げるサマータイム(夏時間)を、2019年2020年の両年限定で導入することについて、本格検討に入った。
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五輪組織委員会の森喜朗会長が7月27日首相官邸を訪れ、安倍首相にサマータイムの導入を要請。午前7時スタート予定のマラソンが、もっとも涼しい午前5時スタートとなる。
■2005年のサマータイム導入を目指す動き
2005年当時にも、政財界でサマータイム制の導入を目指す動きが活発になっていた。第一生命経済研究所は、サマータイム導入に伴う名目GDP増加額を約1兆 2,094億円と試算。名目GDPの産業別効果では、サービス業のプラス約6,510億円、卸売・小売業のプラス約2,466億円が大きかった。
2005年と現在では、日本の置かれている経済環境が大きく異なり、この試算については何とも言えないが、当時の試算では、日常の生活時間が1時間前倒しされることで、余暇時間内の日照時間が1時間増加することに着目し、名目家計消費にプラスに影響するとした。
産業別効果では、やはり外出を伴う娯楽・レジャー・文化、外食・宿泊、被服・履物、それに付随する保健・医療、交通といった品目がプラス。余暇の増加で嗜好品の摂取が増加することを受けて、アルコール飲料・たばこといった品目にもプラスの影響を見込んでいた。
■サマータイム導入のデメリット
しかしサマータイム導入にはデメリットもある。コンピュータプログラムの変更、航空機や鉄道といった交通機関のダイヤ変更、交通信号機調整などの手間とコストの増加である。サマータイムを開始する時に繰り上げ、終了する時に時間を元に戻すことで発生し、恒常的に導入すると、毎年このコストと手間がかかってくる。
さらに「働き方改革関連法」が成立したばかりの時に、残業時間の増加が懸念される。1948年から1951年の間、実際にサマータイムが実施された時には残業時間の増加が確認された。
■本場アメリカでは廃止の動きも
サマータイムの本場とも言えるアメリカの州では、サマータイム廃止を検討する動きが進んでいる。
夏を中心に時計を1時間すすめることで明るい時間を効率的に使い、夜を休息と余暇に当てることが主な目的なのだが、近年サマータイムによる脳卒中や心臓発作などの発症リスク増加を示唆する研究が発表され、各地の州議会などから再検討を求める声が挙がっているという。
■異例の導入背景
日本では経済的効果、環境問題など、さまざまな背景による導入の動きがいくつかあった。しかし今回のように東京五輪・パラリンピックの酷暑対策のために2年限定で導入されるというのは始めてである。
例えば朝9時から夕方6時までの勤務の人は、今回のサマータイムでは、今の7時から夕方4時までの勤務になり、朝は涼しくて快適かもしれないが、夕方4時に電車に乗って帰宅と言うのは不思議な感覚がある。暗くなるまでどこかへ寄りたくなるだろう。
夏休みでなければ、小学生は炎天下の1時頃帰宅し、部活は最も気温の高い時間帯。主婦の夕方の買い物も、2時から4時の間にしなければならなくなり、やはり家庭生活の夜の時間帯へのずれ込みは進むだろう。寝不足が心配になる。
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