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足元事情に安住する恐ろしさ 資源大国オーストラリアが世界一電気代が高い訳
東芝問題が今日時点で未だ決着を見ないでいる。入り口は傘下に収めた原発メーカー「ウエスチングハウス(WH)」の経営不振だった。世界的な「脱原発」の流れの中で需要が日ごとに減少していった。「言うは易いが、行うは難い」と指摘されるかもしれないが、WHの減損処理を何故早い時期に行えなかったのか。それが結局は「粉飾決算」の流れを作ってしまった。
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また連日の様に新たな「不正」が明らかになっている神戸製鋼所問題然りである。「企業の体質・構造問題」とされるが、要は足元の「利益」に目を瞑ってしまった結果である。日産問題も含め、足元をしっかり整備しきれなかったことが「日本製品の国際的信用問題」となり始めている。
何故こんな知り尽くされ、要因が多面的に指摘されている感が強いことを、書き出しに持ってきたのか。引き金は「資源大国オーストラリアの電力料金が世界1高い」という報道に接したからである。
オーストラリアは石炭や天然ガスの埋蔵量で世界最大級。海に囲まれた立地を含めクリーンエネルギーによる発電に恵まれた環境にある。にもかかわらず、電気料金は首都シドニーで1kW当たりニューヨークの倍。南オーストラリア州では日本円換算で約4,000円。ニューヨーク州の約3倍。ここにきて価格が急上昇している。
同国にも「老朽化した石炭火力発電所を閉鎖し、天然ガスで電力供給をカバーしつつ徐々に太陽光や風力発電に移行していく」という計画があった。だがそんな流れを狂わしたのは、外国資本による天然ガス買い。価格が高騰・輸出増。国内需要の逼迫に繋がった。
政権は天然ガスの生産業者に「このまま供給不足が収まらないなら、輸出量に上限を課す」とブラフを仕掛けた。しかし法的根拠のない「お願い」。業者が容易に首を縦に振るはずもない。しかも一方で電力会社には「老朽化した石炭火力発電所を存続させる」よう指示した。先進国とは逆に「化石燃料に電力源」を求める流れが加速している。こうした「時流」が電力料金上昇を顕著にしているのである。法成立などで方向性を定め「足元収益:天然ガス需要」に歯止めをかけられなかった「ツケ」が、資源大国オーストラリアを皮肉にも「世界1電力料金が高い国」にしている。
足元への適切な対応こそ、企業にとっても国家にとっても肝要である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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