JOGMEC、沖縄海域で2つの新たな海底熱水鉱床を発見

2017年7月22日 11:56

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球美サイトで確認された高温(約350度)の熱水を噴出する高さ約2メートルのチムニー。(写真:石油天然ガス・金属鉱物資源機構発表資料より)

球美サイトで確認された高温(約350度)の熱水を噴出する高さ約2メートルのチムニー。(写真:石油天然ガス・金属鉱物資源機構発表資料より)[写真拡大]

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、2016年11月から2017年2月にかけ実施した海洋資源調査によって、沖縄県の久米島沖と、鹿児島県の沖永良部島沖の2つの海域において、銅・鉛・亜鉛・金・銀などの資源を含んだ海底熱水鉱床の存在を確認したと発表した。

 久米島沖の鉱床は「球美(くみ)サイト」、沖永良部島沖の鉱床は「銀水(ぎんすい)サイト」とそれぞれ仮称されている。

 まず球美サイトから解説していこう。水深1,800メートルの海底に、550×400メートルの範囲で熱水活動が分布し、350度の熱水を噴出するチムニーをはじめ、複数のチムニーやマウンドが発見された。チムニーというのは、海底熱水鉱床において生成される、柱状構造物のこと、マウンドというのは、熱水噴出口などがある小高い山のことである。

 採取した鉱石を分析したところ、銅が4.7%、鉛が7.6%、亜鉛が6.0%、金が2.9g/t、銀が842g/tであった。なお、球美というのは久米島の古称とされる名である。

 銀水サイトは、水深1,100メートルの海底に熱水活動が300メートル×100メートルの範囲で分布する。こちらでは、220度の熱水を噴出する、高さ30メートルという巨大なチムニーが発見された。

 こちらで採取された鉱石は、銅0.8%、鉛13.9%、亜鉛17.5%、金13.6g/t、銀1,061g/tであった。銀水というのは、沖永良部島にある神秘的な洞窟の名である。

 また銀水サイトは、洋上の調査船から、マルチビーム音響測深器で検出した水中音響異常をもとに発見された。これは従来の手法なのだが、一方の球美サイトは、この水中音響異常が検出できない海域で発見された。

 ということは、沖縄海域には、従来の探査手法では発見が困難な海底熱水鉱床が、まだまだ眠っているのかもしれないのだという。

 JOGMECは、今後も新たな鉱床の発見に取り組んでいきたいとしている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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