九大、南極で彗星の塵を発見

2014年12月25日 01:03

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「『とっつき岬』に露出している氷を2000年に現地で溶かして作成た水」をろ過して得られた微粒子(九州大学の発表資料より)

「『とっつき岬』に露出している氷を2000年に現地で溶かして作成た水」をろ過して得られた微粒子(九州大学の発表資料より)[写真拡大]

  • 「2003年から2010年の間の、ドームふじ基地近くの雪原の表面の雪」を日本に持ち帰って、クリーンルームで雪を溶かしてろ過して得られた微粒子(九州大学の発表資料より)

 九州大学の野口高明教授らによる研究グループは、世界で初めて南極の雪と氷の中から彗星の塵を発見した。

 地球にはおよそ4万トンもの微細な地球外物質が降り注いでいる。その中でも彗星起源である千分の1ミリメートル程の塵は、地表では回収することができないと考えられていたため、成層圏で特殊な飛行機を使って採取してきた。

 今回の研究では、南極の昭和基地近くにある「とっつき岬」で露出している氷と、ドームふじ基地近くの雪原の雪をそれぞれ採取し、詳しく調べた。その結果、成層圏で回収されてきた彗星の塵とよく似た物質をそれぞれの採取物の中から発見した。さらに、雪に含まれていた物質は、NASAの水星探査機スターダストがヴェルト第2彗星から持ち帰った塵に含まれていたレッデライトという特別な鉱物も含んでいることが分かった。

 今後は、ロゼッタ探査機やはやぶさ2探査機の観測データとも比較することで、太陽系がどのように形成されたかをより詳しく調べることができるようになると期待されている。

 なお、この内容は「Earth and Planetary Science Letters」に掲載された。

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