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山形大ら、印刷法によるLED照明に匹敵する高効率・白色有機ELを開発
発光層と電子輸送層の積層構造を用いて作製した塗布型白色有機EL素子の概要を示す図(JSTと山形大学の発表資料より)[写真拡大]
山形大学大学院理工学研究科の城戸淳二教授、夫勇進准教授らの研究グループは18日、多層構造を持つ低分子塗布型白色有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL)の開発に成功したと発表した。
印刷技術を用いて製造コストを低減できる塗布型有機ELは、次世代のフラットパネルディスプレイや照明への応用が期待され、注目が集まっている。しかし、これには発光効率の向上が実用化に向けた課題の1つになっており、そのためには塗布によって有機材料を積層する技術の確立が望まれている。
同グループは今回、有機溶媒への溶解性を制御することで、これまでは一部の高分子有機EL材料によってのみ可能であった多層構造を低分子有機EL材料でも可能とした。これにより、塗布型有機ELの材料選択の自由度が大幅に広がり、印刷法でLED並みの高効率有機ELを製造することができたという。開発した塗布型白色有機ELは、世界最高水準のLED照明に匹敵する高い電力効率76lm/Wを達成した。
今回の研究成果より、低分子有機EL材料を塗布により積層する技術を確立することができた。低分子材料は、高分子材料よりも材料の高純度化や分子構造の制御が容易であるため、塗布型有機EL材料の高性能化に向けた材料開発が加速されることが期待されるという。今後、塗布により複数の有機ELユニットを積層した素子構造を形成することにより、高輝度時の発光効率の低下抑制や長寿命化を実現し、塗布型有機ELの早期実用化を目指す方針だ。
今回の研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的イノベーション創出推進プログラム(S-イノベ)の一環として行われている。
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